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断捨離本が海外で売れた理由から学ぶ

Lean from the success of "spark joy"

2016.02.29

Updated by Mayumi Tanimoto on February 29, 2016, 13:02 pm UTC

大原さん、いかがお過ごしてでしょうか。

バーベキュー味のポテチが販売禁止になるまえに、イギリスはEUから逃げてくれまいかと思っている今日このごろであります。

前回の書簡では、近藤麻理恵さんの「人生がときめく片づけの魔法」が英語圏では「Spark Joy: An Illustrated Master Class on the Art of Organizing and Tidying Up」という題名で英訳され、アメリカでは電子版を合わせると190万部を突破、イタリアやブラジルでも10万部近く売れたというお話をうかがいました。(マガジン航:こんまりの「片づけ」本は海外でなぜ売れた?

この本、ロンドンでも売れていて、ユーロスターの駅にある本屋にもあるほどです。普段はタレント本とサッカー本と塗り絵本ぐらいしか売れないDQNだらけのイギリスでも、こういう本が売れるというのは実はすごいことであります。DQNの識字率の向上に健闘したのではないでしょうか。

私はこの本を立ち読みしました。我が家に転がっている ソ連の絵葉書とか 、300枚しか売れなかったノルウェーのブラックメタルのCDとか、中国でゲットしたトカゲの干物とか、戦車の部品とか、インドの軍用糧食を捨てれば、私の人生もときめくような気もしないのではないのでありますが、家人にジャガイモで殴打されそうなのでそのままにしてあります。

さて、大原さんがご指摘のように、この本が売れたのは、タイトルを英語圏に通じるように「Spark Joy」とうまく翻案したのが良かったようです。

歯を完全に矯正したアメリカ人が、KパイセンやAパイセンのように、目を爛々とさせながら、「すぱーく!じょい!!」と叫んでいる姿が目に浮かびます。 お客様の嗜好に合わせてたローカル化。センスがあります。DQNなアメリカ人には前向き、単純化、キラキラしたワードを散りばめるのが基本です。

自己啓発書を買ってしまうようなアメリカンDQNの心がウキウキする言葉を選び、なおかつ、このDQN達にリーチするようなプロモをするというのは、やはり、「現地の人のツボを押すには何がいいのか」をわかっているコンサルなり、現地の企業なりとのコラボが重要なのではないかと思います。皮肉、侘び寂び、エスプリ、そんなものが通用しないことは、日本でだけ商売してきた人間には理解不可能です。

ものさえ捨てれば自分の低能も話のつまらなさも治ると思っているような怠惰な人々はどこの国にもいます。彼らに気持よくお金を出させて儲けるには、矯正方法を教えるよりもシャブを売りつけたほうが効率が良さそうですが、売人が出没する場所や手渡しの方法、客がときめくクスリの名前は土地によって違うので、そこは、事情通にそれなりの銭を払ってご教授を受けなければ儲からないわけです。

ITも通信業界も外に売るにはどうしたらよいか、日本にやってくる外国人客向けのサービスネーミングはどうするべきか、を考える場合に、「人生がときめく片づけの魔法」の成功事例は参考になるでしょう。ちなみに、逆の意味で参考にしていただくと良さそうな事例が、日本政府国際広報誌「We Are Tomodachi」です。日本には忍者がいると信じているアメリカ中西部のDQNにトモダチトモダチと一生懸命叫んでも、ショットガンで殴られて終わりです(これアプリもあるんですが、Google Playで見るとダウンロードが5,000件にも届いていないのがとても気になりますね)。

安倍晋三グラビア写真集「We are Tomodachi」は観光立国(復興情報)の予算で作られた、らしい

ところで、アメリカでは最近リアル書店が復活しつつあるとうかがっておりますが、大原さん、何か特に理由はあるんでしょうか?

 

 

 
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連載企画「往復書簡・クールジャパンを超えて」は、マガジン航[kɔː]とWirelessWire Newsの共同企画です。マガジン航側では大原ケイさんが、WirelessWire News側では谷本真由美さんが執筆し、月に数回のペースで往復書簡を交わします。[編集部より]

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。