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Twitter、サービス開始から10年:台頭するInstagramに対抗できるのか

2016.03.22

Updated by Hitoshi Sato on March 22, 2016, 18:19 pm JST

2016年3月21日、Twitterで初投稿されてから10年が経った。創業者で現在もCEOを務めているジャック・ドーシー氏が「just setting up my twttr」と初の「つぶやき」をしたのが2006年3月21日だった。

これが初の「つぶやき」


140文字のつぶやきで日本でも注目され、特に日本では東日本大震災で電話が利用できない時の生存確認、情報発信、情報提供にも役立った。一方で学生らが「未成年なのに飲酒の写真」や「バイト中の悪ふざけ」「線路に降りての写真」などをアップする、いわゆる「バカッター」なども問題になった。このような「バカッター」は日本だけの問題ではなく欧米でも若気の至りで問題になっている。

TwitterよりもInstagramの時代

最近ではInstagramの方が若者や企業に人気があり、Twitterの存在感は小さくなってきている。たしかにInstagramの方が写真の一覧を見て興味ある写真のみを閲覧すればいいことから見やすいし、若者には手軽でいいだろう。写真だけ見て「お気に入り」の写真にハートのマークを付けるだけでいい。テキストも書いているが、本当に一言程度である。

世界規模で見てもInstagramの利用者が4億人以上だが、Twitterは3億2,000万人で、ここ1年くらい3億人から大きく伸びていない。むしろテキストのみでツイートを受け取る「SMS Fast Followers」を除くと3億500万人で減少している。

まだ赤字のTwitter

売上も芳しくない。2016年2月に発表した2015年第4四半期(2015年10~12月)の決算発表では、売上高は前年同期比48%増の7億1,000万ドル。純損失は9,000万ドルの赤字だったが、それでも前年同期の1億2,500万ドルから赤字幅は縮小しているものの、赤字が続いている。Twitterの売上高のうち90%は、広告収入である。おなじように広告収入に依拠しているFacebookは全世界で15億人以上の利用者がいて、収益も絶好調である。Googleも広告が収益の柱だが、こちらも絶好調である。Twitterはサービス開始から10年が経ち、利用者は減少しつつも3億人以上が利用しているのだが、いまだに投資が多いのか赤字である。

▼Twitterの売上高の推移および広告収入とその他の比率(Twitter発表資料を元に作成)
20160322-twitter-1

インドネシアではまだ人気のあるTwitter

Twitterの利用者のうち20.6%にあたる6,600万人がアメリカである。また売上に占める米国市場の割合が約65%であるから、Twitterはアメリカ市場に収入を大きく依拠しているという構造であり、この構造はずっと続いている。

Twitter利用の80%を占めている海外市場では日本やインドネシアでの人気が高い。但し日本でもインドネシアでも最近では芸能人やタレントだけでなく、若者や企業でも多くはInstagramを利用するようになってきている。またFacebookも利用している人が多い。

日本ではTwitterの10年をお祝いするような「つぶやき」は少ないが、Twitterが辛うじて人気が残っているインドネシアではTwitter10年をお祝いするために「#KarenaTwitter」というハッシュタグをつけて、Twitter10年を祝う「つぶやき」をしていた。インドネシアで大人気のアイドルグループJKT48のメンバーもいつもTwitterで情報発信をしている。日本のAKB48から移籍した仲川さんも約120万のフォロワーがいてインドネシア語と日本語でTwitterから報発信をしている。仲川さんもTwitter10年を祝う「つぶやき」をしていた。

▼アクティブユーザー数の地域別推移と比率(Twitter発表資料を元に作成)
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次の10年に向けて

情報発信のプラットフォームが多角化し、Twitterが無くともFacebookやInstagram、日本ではLINEなどがある。今までTwitterで情報発信をしていたタレントや芸能人の多くも情報発信の軸をInstagramに移してきている。

TwitterだけでなくFacebookもInstagramが無くとも困る人は少ない。新たに出てくるであろうサービスを利用して発信していくだけだ。かつて日本ではmixiがSNSとして多く利用されていたがFacebookの登場によって、もはやmixiをSNSとして利用する人はほとんどいなくなっている。ネットサービスの栄枯盛衰は激しく、ユーザーは移り気である。そしてユーザーが多いところに広告も集まり、収益を上げる。Twitterは次の10年に向けてどのような方向で対抗してくるのだろうか。

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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。