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ファナック、IoTで製造業の高度自動化を実現する「FIELD system」を発表

2016.04.19

Updated by Asako Itagaki on 4月 19, 2016, 12:02 pm JST

ファナックは、シスコ、Rockwell Automation、Preferred Networks(以下PFN)と協業して、「モノづくり」最適化プラットフォーム「FIELD system」(FANUC Intelligent Edge Link and Drive、以下FIELD)を開発する。ファナックのオートメーションシステムで使用されるCNC、ロボット、センサーなどからデータを吸い上げ、機械学習機能とディープラーニングも含めた高度な分析機能によって、予防保全や制御にフィードバックすることで、設備効率、生産高、品質を向上するソリューションを構築する。

「エッジヘビー」なネットワークをフォグコンピューティングで実現

FIELDは、製造現場にある工作機械・ロボットなどの機器やセンサーをネットワーク化して工場内でデータ処理を行い、必要最小限の情報だけをクラウドで共有する「フォグコンピューティング」のアーキテクチャを特徴とするプラットフォーム。工場内のCNC、ロボット、その他のセル装置をCisco UCSに接続してビッグデータをリアルタイムに収集・分析する。「何でもクラウドに送るのではなく出来る限り工場内にあるフォグで処理することで、セキュアでかつ低コストなシステムを可能にする」(株式会社ファナック 稲葉善治代表取締役社長)というコンセプトだ。

「開発テーマの中で一番重要なのはIoTでであると考えている。FA、ロボマシンで最先端技術を持つファナックは強みである「エッジヘビー」なシステムに特化し、フォグとクラウドはシスコ、Rockwell Automation、PFNと相互補完することで、IoTでに対応する」(稲葉社長)とする。

製造業においては人件費高騰、労働人口現象など自動化ニーズが高まっている。また生産拠点のグローバル化により現地生産でも日本国内と同等の品質が求められるなど、ニーズのグローバル化も急速に進むが、現地からのさまざまな要求に対応するためにはフレキシブルで高パフォーマンスなシステムが求められる。

ファナックでは2015年4月からZDT(Zero Down Time)機能をシスコと協業して提供しており、2016年末にはシステムに接続されたロボットの数は6000台から10000台に達すると見込まれている。FIELDはその拡張で、ZDTで提供していた「機構部の状態監視」「プロセスの状態監視」「システムの状態監視」「保守時期の通知」に加え、FIELDでは、フォグ上に製造現場に必要なアプリを置き、組み合わせて利用することで、それぞれの現場に合わせた環境を柔軟に構築する。制御装置のプログラムの一部をソフトウェアとしてフォグ上に置くことで、旧モデルの工作機械に新たな機能を付加し、より高度な自動化を進めることが可能になる。

機械学習による高精度な異常検知や自律分散制御

FIELDのもう一つの特徴が、機械学習エンジンの提供。Cisco UCSには汎用アプリケーションに加えて、深層学習フレームワークChainerが搭載されている。機械学習によるより高度な制御や、精度高い異常検知を目指す。

「我々としては自律分散アプリを目指したい。そのためにPFNと協力した」(同社ロボット事業本部長 稲葉清典氏)学習結果をフィードバックすることで、従来は熟練者による調整が必要だった機械の調整や制御を自動化する。

▼バラ積み部品のピッキングロボットの事例。最初は全くランダムな位置にアームを下ろしていたが、8時間の学習で「取りやすい場所」を選んで90%の精度で部品を拾えるようになった
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▼ディープラーニングにより異常検出が可能となった。

また、複数台の機械による分散学習と統合により、さらに学習の高速化もはかる。複数のロボットが同時に学習しながら定期的に学習結果を共有することで、より高速で精度の高い学習が可能になる。機械同士がお互い柔軟にかつ賢く強調し、今までになかった高度な製造業を実現する。

FIELDには認証を受けたサードパーティのアプリも実装可能。深層学習プラットフォームを利用して新たなアプリを開発することもできる。サードパーティのセンサーや周辺機器もファナックのコントローラーを経由せず直接FIELDに接続可能。オープンなプラットフォームとして提供する。

また、顧客窓口として、新たに「トータルインテグレーションパートナー」資格を設ける。ロボット、FA、ネットワーク、システムのインテグレーションを全てワンストップで実施できるパートナーを育成していく。

【報道発表資料】
製造業のリーダー企業によるコラボレーション: アナリティクスによる製造業の「モノづくり」最適化 – Preferred Networks

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集長。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2013年春、長年住んだ中目黒を離れて、世界一高い電波塔の近所で下町生活を満喫中。

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