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「COMPUTEX TAIPEI 2016」(1)アキバ系からの脱却が進むアジア最大のIT展示会

2016.06.13

Updated by Yuko Nonoshita on 6月 13, 2016, 07:00 am JST

台北で毎年開催されるアジア最大規模のIT展示会「COMPUTEX TAIPEI 2016」が5月31日から6月4日にかけて、台北ワールドトレードセンターをはじめとする市内4会場で開催された。

今年で36回目を迎えた本イベントは、名称からもわかるように「国際コンピュータ見本市」としてスタートし、PCやモバイル製品とその周辺機器、半導体などハードウェア関連の展示会というイメージが強い。だが今年は「IoT」、「スマートビジネスソリューション(Business Solutions)」、「スタートアップ(Innovetions & Startups)」、「ゲーミング(Gaming)」の4つをテーマに掲げ、さらに展示ホールをまるごと1つ使った展示エリア「InnoVEX(革新的なスタートアップ)」を新設するなど、アキバ系から総合的ITイベントへシフトしようとする動きが感じられた。

▼今年掲げられた4つのテーマからCOMUTEXが目指そうとするものが見える。dav

▼新設された「InnoVEX」エリアはホール3をまるごと1つ使っている。
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スタートアップの今を知るショーケース的展示

InnoVEXには27カ国から217のスタートアップが集まり、展示と2つのステージを使ってさまざまなイベントが行われた。

出展内容は幅広く、IoT用のコントロールデバイスやウェアラブル、VRゴーグルやスーツなどのハードウェア関連から、AR開発ツールやEC、グループウェアなどのソフトウェア関連もあった。また、台湾のスタートアップやアクセラレーターを集めたコーナーや、海外で注目されているスタートアップとその製品を紹介するコーナーなど、全体としてショーケースとなるような展示構成であった。

▼個々のブースは小さいが全体としての出展数は多く感じられた。
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▼IoTデバイスやAR開発ツールなど出展内容は幅広い。
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▼日本のチャットワークも出展していた。
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2つあるステージのうち小さな方では、台湾を拠点に活躍するソーシャルネットワークやクラウドファウンディング、AIなどのCEOやファウンダーらが、これからスタートアップを目指そうとする人たちに向けて、ビジネスのヒントを紹介したり、これから注目を集めそうな分野について解説するプログラムになっていた。

▼小さなステージではスタートアップを目指す人たちに向けたプログラムが中心だった。
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AIを活用した広告サービスを日本でも展開している「appier」のCEOであり、AI研究者としても知られるChih-Han Yu氏は「台湾はデータマイニングを専門とする世界でもトップの大学があり、マーケットもAIを活用するのにちょうどよく、そこから世界を狙える」とコメント。クラウドファウンディング「Flying V」のファウンダーの一人であるTim Cheng 氏は「台湾には才能ある若い人たちがたくさんいる。それを知ってもらうことがビジネスチャンスにつながる」と参加者にメッセージを送っていた。

▼AI研究の第一人者でもある「appier」のChih-Hun Yu CEOが登壇。
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▼クラウドファウンディングをビジネスチャンスにつなげる方法を解説する「Flying V」のTim Cheng 氏。
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もう一つの大きなステージではVRやロボティクス、スマートシティなど世界の技術トレンドやビジネスに関する話題を中心に、トークやパネルディスカッションが行われた。

MITのメディアラボのKent Larson教授による、都市のサイズにあわせてコンパクトでシェアできる自走式モビリティを活用する「モビリティオンデマンド」や、ライフスタイルに合わせてレイアウトや家具が自動でトランスフォームする「マイクロハウジング」のアイデアが紹介された。またロボティクスをテーマにしたパネルディスカッションでは軍事利用の可能性など生々しい話が取り上げられる一面もあった。

▼MITのメディアラボのKent Larson教授の研究はTED Talksでも紹介されている。
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▼ロボティクスのパネルディスカッションは工場からセルフドライビングカー、軍事まで今後ロボット化が進むジャンルについて技術関係者らが率直に意見を交わしあった。
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賞金3万ドルのピッチコンテストも開催

17カ国から102チームが参加したピッチコンテストでは、8つのファイナリストの中からシリコンバレーを拠点とする台湾の「MoBagel」が選ばれ、賞金3万ドルが贈られた。同社はIoT家電のリアルタイムデータをAIで予測分析する技術を開発しており、500スタートアップのアクセラレーションプログラムにも昨年選ばれている。

台湾ではスタートアップ市場に投資する動きが強まっており、台湾政府が8千万米ドルを投資することを発表するなど、クラウドファウンディングを活用した起業も増えている。投資を決めた蔡英文総統はオープニングイベントにも来場しており、今後の政策としてIT分野へ力を入れていく姿勢をうかがわせている。

なお、InnoVexのイベントには3日間で10,975が参加したとのことだ。

 

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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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