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サムスン(Samsung)が、ジョイエント(Joyent)という米クラウドサービス・ベンチャーを買収すると韓国時間16日に発表した。モバイル分野やIoT関連分野でクラウド・コンピューティングの重要性が高まるなか、独自のプラットフォームを確保する狙いがあるという。

サムスンの発表によると、同社はジョイエントの技術や人材を使って自社のクラウド関連インフラやサービスの強化を図る考えで、買収完了後には自社のモバイル部門にジョイエントを統合する予定とされている。なお買収金額は明らかにされていない。

2005年創業のジョイエントは、インテル・キャピタル(Intel Capital)やピーター・ティール(Peter Thiel)氏などが出資するベンチャーで、パブリック・クラウド分野ではアマゾン(Amazon)の「AWS」、マイクロソフト(Microsoft)の「Azure」などと競合している。ただし、この話題を報じたWSJでは、サムスンにはアマゾンやマイクロソフトと直接競合するつもりはなく、同社自体のクラウドサービスに対するニーズが高まるなかで現在大きく依存している「AWS」や「Azure」への依存度を軽減することが買収の主な狙いとするサムスン幹部のコメントを紹介。さらに、同社が力を入れるバーチャルリアリティや人工知能(AI)といった新分野でも、クラウド側での処理能力の比重が高まり、端末側は単なるインターフェイスとなりつつあるなどとする指摘もある。

いっぽうBloombergでは、依然としてハードウェアやコンポーネントなどハードウェア関連の比重が高いサムスンが近年ソフトウェアやサービスの強化に力を入れてきている点に触れながら、ジョイエント買収によるクラウド分野の強化を通じて収入源の多角化を進める考えと伝えている。

Bloombergによると、サムスンは昨年モバイル決済関連のループペイ(LoopPay)などあわせて12社の買収に4億5600万ドルを投じており、また一昨年8月には家庭向けIoT関連の統合用ソフトウェアを開発するスマートシングズ(SmartThings)も買収していた。

【参照情報】
Samsung to Acquire Joyent, a Leading Public and Private Cloud Provider - Samsung
Samsung to Buy U.S. Cloud Services Firm - WSJ
Samsung Agrees to Buy Joyent to Expand Cloud Computing Services - Bloomberg

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