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一週間

[2016年第28週]国内初のAndroid Oneスマホ登場、ブロックチェーンやAIの研究開発組織発足

2016.07.13

Updated by Naohisa Iwamoto on July 13, 2016, 12:09 pm JST

この週は、ソフトバンクが国内で初めて「Android One」スマートフォンをY!mobileブランドから提供するというニュースがあった。また、ブロックチェーン、AI、自動運転、教育IoTなど技術開発に関連する話題も多かった。

「Android One」スマホがY!mobileから、IIJは郵便局でスマホを販売

ソフトバンクは、「Y!mobile」ブランドの新しい商品カテゴリーとして「Android One」のスマートフォン「507SH」(シャープ製)を、2016年7月下旬に発売する。Android One は、Googleが各国のメーカーと協力してスマートフォンを開発するプログラムで、世界21カ国以上で展開されている。低価格ながら最新のAndroid OSを利用でき、Googleの標準アプリケーションを中心に搭載した使い勝手の良さも特徴となる。ソフトバンクが発売する「507SH」は、日本市場向けに防水(IPX5/8相当)、防じん(IP5X相当)、ワンセグに対応するほか、3010mAhの大容量バッテリーで長時間の利用にも耐える。Android One スマートフォンの発売は国内では初めてのこととなる(報道発表資料:Y!mobileから「Android One」が日本初登場)。

通信事業者関連のニュースを続ける。MVNOが提供するモバイル通信サービスに新しい販売手法が加わるニュースが相次いだ。1つは、インターネットイニシアティブ(IIJ)の「IIJmio」で郵便局に設置したカタログで格安スマホを販売するというもの。まず、東海地方(岐阜県・愛知県・静岡県・三重県)の郵便局2050局で取扱いを開始し、順次全国の郵便局に展開する計画。もう1つはU-NEXTの「U-mobile」で日本経済新聞社の日経電子版とSIMや通信機器をセットで提供するというものだ。iPad Air 2やモバイルルーターといったハードウエアの料金が実質無料で、モバイル通信サービスと日経電子版を活用できるようにする(関連記事:IIJmioは郵便局で格安スマホ、U-NEXTは日経電子版とiPadのセット、広がるMVNOの販売手法)。

ニフティは、法人向けMVNOサービス「NifMo法人サービス」で、IoTやM2M用途での利用に適した新プランなどの新サービスを提供する。センサーなどからの通信に適した「上り特化」プランや、シェアプラン、新しい管理者ツールを提供する。NifMo法人サービスのIoT向け新プランは3種類。そのうち2種類は上りに特化したプランで、いずれも下り最大200kbps、上り最大50Mbpsの「上り特化1.1GBプラン」と「上り特化10GBプラン」を用意し、7月11日に提供を開始した。もう1つは夜間のバッチ処理などに適した「夜間特化3GBプラン」で、提供時期は今後公表する(関連記事:ニフティ、NifMo法人サービスで「上り特化プラン」などIoT利用に適したサービス拡充)。

ブロックチェーン、AI、自動運転、教育IoT--続く技術開発

デジタルガレージ、カカクコム、クレディセゾンの3社は、オープンイノベーション型研究開発組織「DG Lab」を設立する。2020年を第1フェーズとして活動を開始する。

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ブロックチェーン、AIの2分野を軸に、VR/AR、セキュリティ、バイオテクノロジーを加えた5分野を重点分野として選び、これらの分野で高いレベルを持つパートナー企業群と連携する。研究と開発が分けられない状況に対応するために、社内外にかかわらず優れた技術をいち早く発掘しその技術をコアにさまざまな業界に向けプロジェクトを立ち上げる、オープンプラットフォーム型研究開発組織を目指す(関連記事:ブロックチェーン、AIなど先端技術のインフラ化を目指すオープンイノベーション型研究開発組織「DG Lab」発足)。

「DG Lab」設立発表会では、特に重点分野として取り上げるブロックチェーンとAIの現状と進むべき方向について、デジタルガレージ共同創業者でMITメディアラボ所長の伊藤穰一氏が語った。

MITメディアラボ所長の伊藤穰一氏

「ブロックチェーンはインターネットでいえば「TCP/IP以前」の段階」「ブロックチェーンの扱う問題は「ロールバックできない」怖さがある」など、さまざまな示唆に富む話があった(関連記事:ブロックチェーンはまずインフラ整備を、人工知能研究における日本の強みは「人間との関係」-伊藤穰一氏が語る現状と未来)。

自動運転バス実現に向けたコンソーシアムの設立の話題もあった。九州大学、NTTドコモ、ディー・エヌ・エー(DeNA)、福岡市は2016年7月8日、「スマートモビリティ推進コンソーシアム」の設立に合意したと発表した。コンソーシアムは、2018年度下期に九州大学伊都キャンパス内を循環する自動運転バスのサービスイン実現を目的とする。

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コンソーシアムでは、自動運転バスの早期実用化に向けて、実証実験を実施する。そのために、運転手が車両のハンドルやアクセル、ブレーキを操作せずに走る自動運転に必要な走行技術の開発と、通信ネットワークや人工知能を活用した安心で便利なサービスプラットフォームの開発に向けた検討を行う(関連記事:キャンパス内の自動運転バス実用化へ、九州大とドコモなどがコンソーシアム)。

教育におけるICT活用の取り組み。内田洋行とインテルは「教育IoT」の実装やデータ活用、システム環境構築などの検証を目的とする覚書を締結したと発表した。「アクティブ・ラーニング(能動的学習)」「アダプティブ・ラーニング(学びの個別化)」といった新しい教育方法の改善や実現に向けた取り組みだ。「教育IoT」の実現に向けて、教育現場に適したデータ活用のあり方や、品質と信頼性を担保する「教育 IoT」のシステムインテグレーションの考え方を確立することを目指す(関連記事:内田洋行とインテル、「教育IoT」の実装や検証で協業)。

ゲームをテレビとスマホ連動で、専門医に遠隔健康相談

このほかの主なトピックを紹介する。NTTぷららは、スマートフォン向けゲームアプリ「ルナたん 〜巨人ルナと地底探検〜」を2016年9月に提供する。同社が発売元となってスマートフォン向けにネイティブアプリを提供するのは初めてのこと。ゲームアプリ「ルナたん」を起動することで、NTTぷららとの契約の有無にかかわらず基本プレイを無料で楽しめる。テレビ向け「ひかりTVゲーム」でも同ゲームを提供することで、テレビとスマホを連動させた新しいゲームの楽しみ方も提案する(報道発表資料:「moon」「ギフトピア」「ちびロボ」などで知られる、ゲームディレクター 西健一氏の最新作!NTTぷらら、初のスマホ向けゲームアプリ「ルナたん 〜巨人ルナと地底探検〜」の提供について)。

オプティムとMRTは、スマートフォンやタブレットを使った遠隔診療・健康相談サービス「ポケットドクター」に、全国の専門医から健康相談が受けられる「予約相談」サービスを追加して提供を始めた。全国にいる各専門医に遠隔で健康相談を行えるサービスで、近所に相談できる専門医がいない場合や、かかっている医師とは別の医師から意見を聞きたい場合などの相談サービスとしての利用が可能。サービス開始時点で、小児科から心療内科まで約60科目、150名の専門医の相談が受けられる。リリース記念キャンペーン価格で、健康相談10分あたり2000円(税別)(報道発表資料:国内初の遠隔診療・健康相談サービス「ポケットドクター」、
全国約150名の専門医から健康相談が受けられる「予約相談」サービスを提供開始
)。

NTTドコモは、2つの翻訳アプリケーション「単語翻訳アプリ」「インタビュー翻訳アプリ」を開発した。「単語翻訳アプリ」は、店舗での訪日外国人への接客などを想定した1対1のコミュニケーションをサポートするもの。「インタビュー翻訳アプリ」は、外国人観光客の道案内、ボランティア、イベントでのインタビューなどを想定したもの。2016年7月中旬から9月下旬まで、横須賀市が実施する「商店街まちなかインバウンドの実証実験」で実用化に向けた検証を行う(関連記事:ドコモ、接客シーンなどで使える2種類の翻訳アプリを横須賀市で実証実験)。

最後に中学生のスマートフォン利用に関する調査のニュースを紹介する。MMD研究所は、インテル セキュリティ(日本での事業会社はマカフィー)と共同で、2016年6月に、中学1年生〜3年生の子どもを持つ女性1148人とスマートフォンを所有している中学生370人を対象に「中学生のスマートフォン利用実態調査」を実施した。中学生のスマートフォン所有率40.9%となり、2015年より3.0ポイントアップした。中学生にスマートフォンで普段行っていることを複数回答で聞いたところ、「LINE」が80.8%とトップ、インターネット検索」が69.7%、「ゲーム」が68.1%と続いた。

一方、親と子の間のギャップも目立つ結果でもあった。子のスマートフォンの利用状況の8項目「把握している」と答えた親は64.4%だったが、親が自分のスマートフォン利用状況を「把握していると思う」と答えた中学生は42.5%で、約20ポイントの差があった。親が思うのとは異なる使い方をこっそり「学習」して楽しんでいる中学生の姿が見えてくるようだ(報道発表資料:中学生のスマートフォン所有率40.9%、2015年より3.0ポイントアップ)。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。