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ソフトバンク 孫社長、ARM買収提案についての記者説明会を開催 「パラダイムシフトの入り口で大きな投資をしてきた」

2016.07.18

Updated by Asako Itagaki on 7月 18, 2016, 21:40 pm JST

日本時間の18日午後7時50分頃からソフトバンクグループ株式会社の孫正義代表取締役社長によるARM買収提案に関する説明会が行われた。要点を紹介する。

▼ソフトバンクグループ 孫正義社長(記者発表会ライブ中継より)
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ソフトバンクが今、ARMに投資する理由

孫社長は「今までソフトバンクはパラダイムシフトの入り口で大きな投資をしてきた。今、モバイルインターネットの次のパラダイムシフトがIoTだと考えているから」だと説明した。ARMテクノロジーはスマートフォンの97%に搭載されている。スマートフォンの出荷数そのものは成熟してきているが、1台のスマートフォンには複数のチップが搭載され、最も重要なアプリケーションプロセッサーはマルチコア化されるなど、ARMの成長余力はまだまだあるとした。

また、スマートフォン以外にも、自動車には多数のARMベースのチップが入ることになる。また家庭内でもIoT化されることであらゆるものがインターネットにつながるようになる。セキュリティが重要になるが、ARMはTrust Zoneというテクノロジーを持っており、ありとあらゆるIoTデバイス
を安全につなぐためにますます重要になる。孫社長は「ARMは情報革命のコア中のコアになっている」という表現でその重要性を語った。

「モバイルを超える大きな成長」のビジョンでARM経営陣と合意

ARMのビジネスモデルは自らチップを製造するのではなく、設計図をチップメーカーに提供するライセンスビジネスである。今回の投資については、ARMの既存戦略を加速する目的で行う。「ARMの経営陣とは共通のビジョンを持てた。中立性の維持、グローバル連携、イノベーションへの投資を行うことで、ソフトバンクとARMはモバイルを超える次の大きなパラダイム・シフトであるIoTに共に力を合わせて挑戦する。その点で合意ができたので、我々とARMの経営陣は全会一致でこれを共同提案することになった」と述べた。

今後はARMの経営陣から株主総会で買収案件に応じることを提案し、株主総会での議決を待つことになる。「ARMの経営陣から見ると、上場していることでこれからやってくるパラダイムシフトに向けた技術開発や投資が難しかったが、上場廃止によって100%プライベートカンパニーになればここ数年の利益を積極的に投資できることがありがたいといわれている」とのことだ。

ARMとの交渉が始まったのはニケシュ・アローラ氏の退任後

Brexitによるポンド安が買収のきっかけになったのか、という質問に対しては「ポンド安のタイミングだったがARMの株価は15%上昇しており、差し引きすると買収価格にはほぼ影響がなかった。それよりも、10年以上前からARMを手に入れたいと思っていたがこのタイミングで現金が手に入ったということ、またIoTへのパラダイムチェンジの入り口というタイミングであるということが重なった」とした。

具体的な交渉に入ったのは2週間ほど前で、ニケシュ・アローラ氏の退任後である。「とはいえ、彼がもしこの場にいたら彼も賛成してくれたと信じている」と孫社長は述べた。以前から意向はあったとはいえ、わずか2週間で正式なアプローチからデューデリジェンス、交渉が行われたということになる。

また、今回の投資にあたっては、英国内での雇用を2倍に増やすことをコミットするとしている。「ARMの社員に説明するのはこれからだが、歓迎されると思う」「ハモンド財務大臣、メイ首相からは、イギリスに対する積極的な投資であり、本社、ブランド、雇用をイギリスに残すということはイギリスに対する信任の現れであり歓迎すると聞いている」と述べた。

【関連情報】
当社によるARM買収の提案に関するお知らせ(ソフトバンク株式会社)

(修正履歴)
7/18 21:54 タイトルと本文中で「パラダイムチェンジ」「パラダイムシフト」の表現のズレがありましたので後者に統一しました。

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。