IoTとはデバイスではなくエコシステムの話 

IoT is about Information Ecosystem, not devices

2016.09.12

Updated by Mayumi Tanimoto on 9月 12, 2016, 08:00 am JST

IoTがテック業界のバズワードとなって久しいわけですが、カンファレンスやセミナーに行っても、テクニカルな話が多く、ビジネスモデルに関しては模索中の企業が多いように思います。

システムを実装する場合も、需要なのはソリューション自体の技術ではなく、実装する組織の文化なり、ビジネスプロセスの見直しが最も重要なわけですが、IoTに関しても原理原則は同じだといえるでしょう。

MIT Sloan Management Reviewが最近発表した

2016 global report on the Internet of Things

がなかなか面白い点をついています。

要約は以下です。

・IoTは単にデバイス同士が繋がるだけではなく、異なる組織が繋がる

・成功にはバリューチェーンを幅広く捉えることが必要

・IoTのビジネスモデルは異なる組織の相互依存性を高める

・組織内だけではなく、顧客やパートナー、競合との間もデータがスムーズに行き交いする必要

・運用、メンテナンスコストの予測。デバイスが増えれば増えるほどコストがかさむ

・ユーザーの期待値を理解するべき

つまり、IoTを議論する場合、単に機械同士が対話する、より多くのデバイスが繋がる、ということを連想する人が多いかもしれませんが、IoTはむしろ、ビジネスプロセスの話であり、情報のエコシステムの大変革だ、ということがいえるわけです。

例えば私が昨年ロンドンでセキュリティカンファレンスに行った際に、WiFiに接続された電気ポットのハッキングの実演がありました。立ち見もでるほど大盛況だったわけですが、私の周囲の観客(監査人やセキュリティ担当)のコメントは、ハッキングのテクニックそのものよりも

「この電気ポットが集めたデータを、ユーザーもベンダも一体どうやって使うべきなの?どうやったら儲かるの?」

「そもそも、ユーザーは他のユーザーとつながって電気ポットの使用頻度をシェアしたいの?俺はやだよ」

でした。

噛んだ回数のデータを送信してくれるHAPIfork とか、ハッキングされてしまうスマートバイブレーターWe-Vibe 4 Plusなど、IoT電気ポットの様に、ドットコムブームの頃のPet.comよりもバカげた製品は、IoTとしてのエコシステムが見えてきませんし、データを収集してシェアするというメリットも感じられません。

一方で、イギリスのProduct Healthが提供するスマートバッテリーの様な製品もあります。ユーザーが太陽熱発電などのデバイスをどのぐらい使っているか、バッテリーの使用度から判断し、自動的にアラートを送ったり、使用料金未払いの場合に、利用を停止することが可能です。こういうソリューションの場合、データをどのように使うのか、どのようなベネフィットがあるのかが明確ですが、案外エコシステムを熟考したソリューションはまだ少ないのではないでしょうか。

「IoTのビジネスモデルは異なる組織の相互依存性を高める」点は、もっとも重要かもしれません。 ビジネスモデルとして組織内での囲い込みをしてしまった場合、潜在的なビジネスを失う可能性もあるわけです。日本のソリューションベンダやデバイスベンダにとって、熟考を要する点ではないでしょうか。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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