https://twitter.com/sarahkendzior/
トランプ勝利でヘイトクライムが多発 AIはアメリカを強くするか?
White America vs Intelligences
2016.11.13
Updated by Ryo Shimizu on November 13, 2016, 07:45 am JST
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White America vs Intelligences
2016.11.13
Updated by Ryo Shimizu on November 13, 2016, 07:45 am JST
トランプ大統領誕生が決まった途端、各地でマイノリティに対する攻撃、いわゆるヘイトクライムが多発しているそうです。
BBCニュースによれば、ニューメキシコ大学のイスラム教徒の学生が、トランプの支持者(トランプのTシャツを着た学生)から暴力を受けたり、フィラデルフィアでは、建物にナチスの鉤十字がトランプの文字とともに落書きされ、また別のケースでは、「Trump Rules(トランプが支配する)」と人種差別撤廃条項が車に落書きされています。
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ニューヨーク州のウェルズビルの小さな村では、「MAKE AMERICA WHITE AGAIN」という言葉とともにソフトボール場の建物に鉤十字が描かれるなど、各地で混乱が置きているようです。
トランプの支持層の多くは、アメリカ合衆国に大勢居ながらも、黒人やセクシャルマイノリティ、移民に対して「割りを食ってる」という不満を長年抱いていた白人労働者階級と言われています。
アメリカ合衆国内には未だに極端な貧富の差や、一種の人種逆差別が横行していると考えている人たちも居ます。Newsweekは、トランプの支持者はヒルビリーと呼ばれる人々だと指摘しています。
無名の作家が書いたメモワール『Hillbilly Elegy』が、静かにアメリカのベストセラーになっている。
著者のJ.D.ヴァンスは、由緒あるイェール大学ロースクールを修了し、サンフランシスコのITベンチャー企業の社長として働いている。よく見るタイプのエリートの半生記がなぜこれだけ注目されるのかというと、ヴァンスの生い立ちが普通ではないからだ。
ヴァンスの故郷ミドルタウンは、AKスチールという鉄鋼メーカーの本拠地として知られるオハイオ州南部の地方都市だ。かつて有力鉄鋼メーカーだったアームコ社の苦難を、川崎製鉄が資本提携という形で救ったのがAKスチールだが、グローバル時代のアメリカでは、ほかの製造業と同様に急速に衰退してしまった。失業、貧困、離婚、家庭内暴力、ドラッグが蔓延するヴァンスの故郷の高校は州内でも最低の教育レベルで、2割は卒業できない。大学に進学するのはごく少数で、トップの成績でも他の州の大学に行くという発想などない。大きな夢の限界はオハイオ州立大学だ。
ヴァンスは、そのミドルタウンの中でも貧しく苦しい家庭環境で育った。両親は物心ついたときに離婚し、看護師の母親は新しい恋人を作っては別れ、そのたびに鬱やドラッグ依存症を繰り返す。そして、抜き打ちのドラッグの尿検査があって困ると、当然の権利のように息子に尿を要求する。それを拒否すれば、泣き落としや罪悪感に訴えかけてくる。母親代わりの祖母がヴァンスの唯一の拠り所だったが、十代で妊娠してケンタッキーから駆け落ちしてきた彼女も、貧困、家庭内暴力、アルコール依存症といった環境しか知らない。小説ではないかと思うほど、波乱に満ちた家族の物語だ。
(中略)
ヴァンスが「Hillbilly(ヒルビリー)」と呼ぶ故郷の人々は、トランプのもっとも強い支持基盤と重なるからだ。多くの知識人が誤解してきた「アメリカの労働者階級の白人」を、これほど鮮やかに説明する本は他にはないと言われている。
タイトルになっている「ヒルビリー」とは田舎者の蔑称だが、ここでは特に、アイルランドのアルスター地方から、おもにアパラチア山脈周辺のケンタッキー州やウエストバージニア州に住み着いた「スコットアイリッシュ(アメリカ独自の表現)」のことである。
(中略)
「アメリカ人の中で、労働者階級の白人ほど悲観的なグループはない」とヴァンスは言う。黒人、ヒスパニック、大卒の白人、すべてのグループにおいて、過半数が「自分の子供は自分より経済的に成功する」と次世代に期待している。ところが、労働者階級の白人ではその割合は44%しかない。「親の世代より経済的に成功していない」と答えた割合が42%だから、将来への悲観も理解できる。
悲観的なヒルビリーたちは、高等教育を得たエリートに敵意と懐疑心を持っている。ヴァンスの父親は、イェール大学ロースクールへの合格を知らせると、「(願書で)黒人かリベラルのふりをしたのか?」と尋ねた。ヒルビリーにとって、リベラルの民主党が「ディバーシティ(多様性)」という言葉で守り、優遇するのは、黒人や移民だけ。知識人は自分たちを「白いゴミ」と呼んでバカにする鼻持ちならない気取り屋で、例え自分たちが受けている福祉を守ってくれていたとしても、その事実を受け入れるつもりも、支持するつもりもない。
彼らは「職さえあれば、ほかの状況も向上する。仕事がないのが悪い」という言い訳をする。
そんなヒルビリーに、声とプライドを与えたのがドナルド・トランプだ。
日本でもしばしば、「女性専用車両は逆差別だ」というような論調の議論が噴出することがありますが、アメリカの「ヒルビリー」と呼ばれる人々の現実はそういう想像力を超えています。
出典:The Guardian
The Guardianの調査によれば、地域別の得票率を見ると、面積的には絶望的なほどトランプが優勢だと分かります。
そしてアメリカの大統領選挙の場合、得票数そのものではなく、獲得した選挙人の数によって勝敗が決します。
逆に言えば、この図に残った青い地域、つまり都市部だけでヒラリー・クリントンが指示されているにもかかわらず、全米の半数の人口が密集しているという点にも改めて驚かされます。
つまり今回の選挙は、地方vs都市の選挙でもあったということです。
そしてかなり多くの人々がトランプの手腕に期待しているのだということもわかりました。
日本では政治家のスキャンダルや失言は命取りですが、アメリカ人はリーダーの人格や振る舞いについてあまり気にしないということが今回の選挙で明らかになりました。
クリントン支持が都市部に集中していることからも分かるように、今回の選挙で大きな力を見せつけたのが白人労働者階級でした。
出典:筆者作成
これまで、社会を動かしていたのは知識階級でした。知識階級には、政治家、メディア、投資家、企業家、芸術家などが含まれます。賢いことがその人の価値そのものを象徴していました。
ところが今回の選挙で明らかになったのは、知識階級だけがリーダーをやるわけではないということです。トランプは投資家でありながら過激な言動を繰り返す危険人物に思えました。しかしトランプを党の代表に選んで選挙を戦おうとしたのが歴史ある共和党です。トランプそのものに注目するよりも、トランプを大統領にしようとした知識人が多数存在することを考えると、その裏側には冷酷な計算があったと考えるほうが自然です。
最近よく聞かれるのは、「人工知能が発達することを前提とすると、子供にはどういう教育を受けさせればいいか」ということです。
一つ確実なのは、AIの発達を前提とするとプログラミングを学んでおくことの価値はより高まることです。
なぜなら、AIとプログラミングは相補的な関係にあるからです。
AIを使いこなしたり、自分の望みを叶えてくれるAIを作るためにはプログラミングスキルが必要です。しかもそれは、数学や物理よりも覚えるのが簡単で、しかも使いやすいという特徴を持っています。
こうした危機感から、筆者は自社で運営する「秋葉原プログラミング教室」に、子供から社会人まで学べるAIプログラミングコースを新設することにしました。
もうひとつの問題は、AIの出現によってプログラミングはさらに格段に簡単になることが予想されます。プログラミングが簡単になり、誰でも使えるようになると、これまでは知識階級が独占してきた高度な知識操作や戦略、判断といったものを、知能程度や教育の有無にかかわらず誰もが利用できるようになります。
出典:筆者作成
すると大金を掛けて高度な訓練と教育を施して維持されてきた知識階級の優位性が一気に失われていくことになります。
こうした世界でむしろ重要なのは知性のダイバシティです。
人種のダイバシティでも、セクシャルのダイバシティでもなく、知性そのものに多様性があるということを利用しなければ新しいことをしていくのはもっと困難になっていくでしょう。
そう考えると、ヒルビリーと呼ばれる人々にAIの力を与えると、それは視力が弱い人にメガネを与えることの何倍もの効果を生み出すことが考えられます。
仮にそうなっても相も変わらず麻薬に手を染め、文句を言いながらも工場で働くだけなのかもしれませんが、彼らにとっての「幸福」を誰にも定義できない以上、それは避けられないことかもしれないのです。
仮にロボットが立派な建物を作れるようになったとしても、人間の「なにかやりたい」という欲を無くすことは出来ません。人は誰かを見下すか、それとも卑屈になることでしか幸せを感じることが出来ないのかもしれません。
ところでAIにはアンサンブル学習という仕組みがあり、複数のAIを組み合わせて多数決をとると単独のAIよりも賢くなることが知られています。
これは奇しくも多数決が正しい結果を生みやすいという、「集合知(Wisdom of crowds)」を連想させます。
今回の選挙では、得票数そのものではクリントン候補がわずかに上回っていました。
しかしどんなAIにも誤差はありますから、これだけの接戦となるとどちらが勝っても同じということなのかもしれません。
とはいえトランプ政権下のヘイトクライムは一時的なものに留まると信じたいですね。
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登録はこちら新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。