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IoTと5G、クラウドでエンドツーエンドのソリューションを--エリクソンがビジョンを説明

2016.11.11

Updated by Naohisa Iwamoto on November 11, 2016, 06:30 am JST

IoTや5G、クラウド/NFVといったキーワードは、技術面から見ればそれぞれ独立した事象かもしれない。しかし、今後のネットワーク化社会の実現に向けては、これらの技術が連携してユースケースを提供していく必要がある。エリクソン・ジャパンは自社イベント「NETWORKED SOCIETY DAY」で、IoT、5G、クラウドがネットワーク化社会への変革の原動力となるという見方を示した。

エリクソンでは、ネットワークにつながって便益をもたらすすべてのものがつながる社会を「ネットワーク化社会(Networked Society)」と呼び、その実現をビジョンに掲げている。エリクソン・ジャパン代表取締役社長のマイケル・エリクソン氏は「ネットワーク化社会に向けて、様々なユースケースが台頭してきている。5G、クラウド、IoTは、ネットワーク化社会を推進する原動力だが、それぞれの技術を別々に考えてしまうとネットワーク化社会への対応はできない。重要なことは、エンドツーエンドで考えること。5G、クラウド、IoTの各要素を連携させた共通のネットワークで、様々なユースケースに対応するエンドツーエンドのソリューションを提供することが必要だ」と説く。

▼5Gのパートナー事業者が27社に上ることを説明する野崎社長20161110_ericsson002

同じくエリクソン・ジャパンで代表取締役社長を務める野崎哲氏は、5G、クラウド、IoTのそれぞれの分野でのエリクソンおよびエリクソン・ジャパンの取り組みについて説明した。

5Gでは、日本の3社の主要事業社と連携しているほか、世界の主要な事業者とも連携していることをアピールした。「すでに5Gでは27の事業者と提携している。4G LTEでは同じタイミングで15社との連携だった。また、世界の業界を横断する5G Automotive Associationを結成するなど12の産業界との提携、20の大学・研究機関との連携も行っている。4Gまでのスマートフォンへの対応から、5GではエンタープライズやIoTの広いユースケースに対応することが求められているためだ」(野崎氏)。

クラウド/NFVは、様々なユースケースの要件に応じて、ネットワークの機能を最適に配置するためのプラットフォームに欠かせないとの考えだ。「現在は、コアネットワークを仮想化する段階だが、今後は分散型クラウドやネットワークスライシングに向かう。1つのネットワークを、相互に影響を及ぼさない複数のネットワークに分割し、ユースケースごとの要件を満たすネットワークを提供する」(野崎氏)。NFVの分野では、60契約、11のライブネットワークの実績があることもアピールした。

さらにIoTでは、4Gから5Gのネットワークが深く連携して、IoTの様々なユースケースを支える姿を示した。野崎氏は「大量のMTC(マシンタイプコミュニケーション)、低遅延のミッションクリティカルなMTC、大容量のモバイルブロードバンドといった異なる要件を同時に満足するネットワークが求められる。どのネットワークで、どのIoTソリューションを実現していくかを考える必要がある」と説明。さらに、IoT向けのチップセットやモジュールのベンダーとも協力して、エンドツーエンドで要求される低遅延や低消費電力などの要件を満たすことも必要になると指摘した。

▼IoT分野では、白地に青文字の通信事業者だけでなく、青地の産業、赤文字のスマートシティの顧客が広がっている20161110_ericsson003

IoT分野では、エリクソンの顧客も通信事業者に限らない。自動車や運輸など産業分野でもグローバルで直接の協力をする顧客企業があるほか、地方自治体などスマートシティに対する協力も行っているという。

このように幅広いユースケースに対応を求められる今後のネットワーク化社会の実現には、「エンドツーエンドのアプローチが必須。すでにエリクソンの売り上げの3分の2はソフトウエアとサービスによっており、ハードウエアを提供するだけでなく、5G、IoT、クラウドの3つを連携させたエンドツーエンドのソリューションの提供に一層力を入れていく」(野崎氏)という。

▼5G、IoT、クラウドを連携させたエンドツーエンドのソリューションの重要性を説明20161110_ericsson004

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。