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IoT時代だからこそユーザーとは誰かを考えたい

Think about users in IoT era

2016.11.28

Updated by Mayumi Tanimoto on 11月 28, 2016, 07:25 am JST

アメリカ大統領選挙でヒラリー氏当選を予測していた人々が根拠とした理由の一つは、SNSでは一部の熱心な支持者を除き、トランプ氏支持者が目立たなかったことでした。

目立つ人々の投稿も、バカげたものが少なくなく、まさかそんな人々が大勢いるとは予想しなかったのです。

テック業界にいると、世の中の大半の人はネットを多用し、SNSを使いこなしていると思いがちですが、トランプ氏当選が示唆するのは、それは単なる視野狭窄であり、傲慢なだけだということです。

世界一豊かなアメリカでさえ、有権者の少なからずはネットを使いこなさず、まして政治的意見をSNSに投稿するようなことは、一般的だとはいえないということです。

日々仕事や子供の世話で多忙で、そんなことをしたいとも思わないのですし、会社や近所の人に何をいわれるかわからない。そもそも大半の人は政治よりも自分のボーナスに興味がある。

世代的なものもあります。私の知っている高齢者の大半はスマホもSNSも無縁で家にネットすらありません。

世の中は思った以上にアナログであり、ネットで政治的意見を発信するような人は「普通」の人ではないのです。IoTやビッグデータの本拠地である大国アメリカですら。この選挙の結果は、シリコンバレーが牽引してきた「世の中」の姿をひっくり返してしまうような、巨大な爆弾だったようなモノに感じます。

テック業界がいかに傲慢であり、一般の人達はテクノロジーを支持すると思い込み、テクノロジーがすべてを解決すると思い込んでいたということを明らかにしてしまった爆弾。それはFacebookやYoutubeだけみていたら絶対に気が付かなかったことですが、場末のダイナーでトーストを食べる人達の会話に耳を傾けていたらわかったことです。

大国アメリカですら、少なからぬ人々が抱えるテクノロジー側にいる「最先端な人々」に対する敵意は、規制緩和、通信行政の変更、労働法の改正が必要となるIoT、AI、シェアドエコノミー系サービスを進めていくにあたって、強烈な障壁になる得る、ということです。

技術はあっても、人間社会では、それを許可したり、実装を可能にする「環境」がなければサービス展開も不可能ですし、技術畑以外の思想的、政治的支持を得られなければ、研究資金を得られない可能性だってあるわけです。

自分がかつて住んでいた町に行き、通っていた公立中学校のクラス会に顔を出し、親の友達や親戚と鍋でもつつくことで、何をするべきかのアイディアが湧いてくることもあるでしょう。

それはファミリー向けの一般公開日かもしれないし、アプレンティスシップ(現代版丁稚奉公。かつてイギリスで盛んだったが、現在はスイスやドイツで活用されている)の受け入れかもしれないし、ユーザーの情報を勝手に収集することをやめることかもしれません。

ヒラリー女史は「インチキ」と揶揄され、トランプ氏は実際どんな人であっても「信頼できる」と思っている人が少なかったということは、テック業界にとって大変な示唆があります。重要であることは、常に誠実であること、もしくは誠実そうだというイメージを持たれること、常にユーザが喜ぶことをやるべきだということです。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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