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世界が注目する英国の最新デジタル・クリエイティブとVRビジネスの最新動向

2016.12.02

Updated by Yuko Nonoshita on 12月 2, 2016, 06:25 am JST

英国のデジタル・エンターティンメントの最新動向を紹介するイベントが、大阪イノベーションハブで開催された。

講師のトニー・ヒューズ氏は英国通産省でデジタル・コンテンツ・セクタースペシャリストを務めており、「英国ではVRやAR、AI技術を家庭市場に向けて開発する動きが強まっている」とし、2020年までに1200億から1500億ドルに成長すると分析している。「VRTGO」「Develop:VR」、さらに来年4月には「VR World Congress」「Virtual Riality Show」といったクリエイターおよび開発者向けのイベントの開催が続いている。

▼英国通産省のトニー・ヒューズ氏からデジタル・クリエイティブ市場の調査データなどが紹介された。

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世界から注目を集めるクリエイティブスタジオも増えており、アニメ「アドベンチャー・タイム」のVR版を製作する「OpposableVR」やアサシン クリードなどを手がける「Climax Studios」、VR製作のトップ企業でシミュレーションなども得意とする「Bossa Studios」らが代表的なスタジオとして紹介された。

▼英国でもアニメやゲームなどでVR製作を手がけるスタジオが増えている。
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ツール開発からハードウェアまで幅広い分野のクリエイティビティが集まる

製作技術を開発するスタジオも登場しており、ヨーロッパを中心に活躍し、モーションキャプチャ技術を得意とする「Imaginarium」 は、ロード・オブ・ザ・リングスでゴラムを演じたアンディ・サーキスが設立したスタジオで、細やかな表情までリアルタイムでキャプチャできる技術が世界から高く評価されている。

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モバイル向けでは人気ドラマのシャーロックのインタラクティブゲームを開発する「To Play For」が注目されている。同社はSF作品の出版も手がけており、ストーリー性の高いコンテンツを次々と発表している。テレパシーで犯人探しをするといったユニークなゲーム作品も開発しており、2DからVRへとクリエイティビティを拡げている。

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開発エンジンやハードウェアを手がける会社もあり、たとえば「Diverse Interactive」は起業したばかりだが、レベルの高いミドルエンジンを開発することで業界から期待されている。VRに連動して動く専用チェアを開発している「RotoVR」や、VRシステムからコンテンツまでトータルな製作開発を行う「VIRTALIS」はノキアの360カメラOZOのパートナーでもある。

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他にもVRやAR以外に3Dプリンターを使った制作物やホログラムまで幅広く手がける「INITION」や、テレビ向けにCGIやバーチャルエフェクトを開発する「REWIND」など、ロンドンに多くのスタジオが集まっている。最近では、これらの企業がお互いに情報共有するような動きもあり、ヨーロッパやアジア、北米からあえてロンドンに進出するスタジオもあるという。

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VRクリエイティブに関しては、エンターティンメントだけでなくメディカル分野に強いのも特徴だ。あるマンチェスターの会社では、VRを活用した脳外科手術のインタラクティブツールを開発しており、他にもクルマの衝突実験をVRでシミュレーションする会社もある。それらのビジネスでは医療分野の専門家が参加しているケースもあるという。

政府の強力な支援策で世界から企業が集まる

また、英国では政府がAIやビッグデータ。IoTなどデジタル関連企業の進出に力を入れており、成果も出ているとヒューズ氏は説明する。「海外からの進出に対しても政府が投資や税務、法規面をサポートしており、日本の会社を支援した例もある」そうだ。英国の特徴として「シリコンバレーは技術重視だが、英国はLAの映像技術、NYの文化といった、いろいろな要素を持つ都市が混在してる」ことをあげており、相互に刺激しあえる距離感にあることが歓迎されているのではないかとも説明する。

▼セミナーでは英国政府が支援に力を入れている分野や企業が紹介された。
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ヒューズ氏が設立したデジタルコンテンツリサーチセンターではインキュベータービジネスも行っており、8年で60社以上のスタートアップを支援してきた。セクター毎にスペシャルアドバイザーが駐在し、進出先や弁護士、会計士らを紹介するなどトータルなサポート体制を確立している。Airbnbの英国進出を手伝ったケースもあり、「政府とは思えないスピードで支援し、英国ならではの魅力的な環境を提供していくことに力を入れている」と言い、「日本からの進出も歓迎しており、規模を問わず興味がある会社はぜひ相談してほしい」ということだった。

▼英国進出に関心がある参加者で会場はほぼ満席状態だった。
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野々下 裕子(ののした・ゆうこ)

フリーランスライター。大阪のマーケティング会社勤務を経て独立。主にデジタル業界を中心に国内外イベント取材やインタビュー記事の執筆を行うほか、本の企画編集や執筆、マーケティング業務なども手掛ける。掲載媒体に「月刊journalism」「DIME」「CNET Japan」「WIRED Japan」ほか。著書に『ロンドンオリンピックでソーシャルメディアはどう使われたのか』などがある。

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