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AIとチャットボットで問い合わせに対応、FX取引やエネルギー事業者で活用へ

2017.02.16

Updated by Naohisa Iwamoto on February 16, 2017, 06:25 am JST

人工知能(AI)と、メッセージに自動応答するプログラムのチャットボットを組み合わせて、カスタマーサポートなどの顧客対応を自動化したり品質向上を目指したりする動きが相次いで発表された。1つは日本マイクロソフトのAI技術を活用したFX取引のカスタマーサポート、もう1つはエネルギー事業者の問い合わせ対応をターゲットとしたトッパンフォームズのソリューションだ。

まずFX取引の話題から。SBIリクイディティ・マーケット、SBI FXトレードは、日本マイクロソフトのAI技術を活用したFX取引のカスタマーサポートの品質向上を実現する取り組みを行う。FX取引の問い合わせは、取引規模の拡大に伴って件数の増加だけでなく内容の複雑化も進んでいる。そうした中で、既存の有人コールセンターやメールでの問い合わせ対応といったカスタマーサポートを補完し、サービスの品質を向上させるためにAIを活用する。

具体的には、SBIリクイディティ・マーケットおよびSBI FXトレードが、日本マイクロソフトのAIノウハウを活用し、深層学習(ディープラーニング)機能を搭載したチャットボットを導入しする。チャットボットが、顧客の問い合わせに対してリアルタイムにメッセージ応答で対応できるようにすることを目指す。最初に、顧客からの為替や取引に対する定型的な質問(FAQ)への自動回答を実現する。その後、FAQへの自動回答で得た問い合わせ履歴をAIに学習させ、将来的には、個別の口座や取引の状況など認識したり、顧客の行動や心理を理解したりして、有人対応と同じレベルの適切な応答を得られるようにする。

一方、トッパンフォームズもエネルギー事業者向けにAIを使ったチャットサービスの提供に乗り出す。同社が提供するのは、エネルギー業界の専門用語に対応し、AI技術により最適な回答を導き出す「エネルギー事業者向けAIチャットサービス」(以下、AIチャットサービス)。トッパンフォームズが提供するエネルギー事業者向けのWeb構築・運営支援サービス「エネフォームズ」に標準搭載するほか、顧客企業の既存のWebサイトに導入することも可能だ。

AIチャットサービスには、ビッグデータ解析を手がけるユーザーローカルのチャットボットツール「サポートチャットボット」を採用する。サポートチャットボットは、顧客サポート業務をAIで自動化するツール。トッパンフォームズがこれまでにエネルギー事業者から受託したコールセンター業務における問い合わせの対応履歴を可視化して、サポートチャットボットのデータベースに登録する。こうした既存のデータを活用することで、初期設定時から専門性の高い内容の問い合わせにも対応が可能になる。さらにAIの自動学習機能を活用することで、運用中にも回答精度を向上させることができる。トッパンフォームズでは、AIチャットサービスを搭載した「エネフォームズ」について、2017年度にエネルギー事業者15 社へ導入し、関連ソリューションを含めて10億円の売り上げを目指すという。

【報道発表資料】
人工知能 (AI) を活用した FX 取引サービスの実現に向け、SBIリクイディティ・マーケット、SBI FXトレードと日本マイクロソフトが連携
問い合わせ内容の可視化と人工知能(AI)技術を融合、エネルギー事業者に特化したAIチャットサービスを提供開始

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。