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SD-WANとエッジコンピューティングでIoT実験、NTT西などが空港の遠隔監視から開始

2017.06.01

Updated by Naohisa Iwamoto on June 1, 2017, 07:25 am JST

NTT西日本は、IoT分野でパートナー企業による新サービス提供を支援するプラットフォームの実証実験を開始する。プラットフォームでは、仮想化したネットワーク環境を作る「SD-WAN」と、IoTデバイスの近くで計算処理を行う「エッジコンピューティング」技術を組み合わせる。これにより、セキュアで遅延が少なく、ネットワーク環境構築を簡素化できるプラットフォームを構築し、実証実験を行う。

実証実験に利用するプラットフォームは、NTT西日本の通信ビル内にクラウド基盤を設置し、ビジネスパートナーの拠点とクラウド基盤をSD-WAN技術を用いて仮想ネットワークで接続したもの。SD-WANでは、顧客の拠点に設置する通信端末である「CPE」を一元管理できることが特徴であり、IoTデバイスがセキュアにクラウド基盤に接続できる環境を容易に構築できる。また、物理的にIoTデバイスの近くのクラウド基盤上でデータ処理などを分散処理することで、遠方のパブリッククラウドで集中して処理を行うよりも少ない遅延でのエンドツーエンドの伝送が可能になる。

実証実験の第一弾は、NTT西日本とJIG-SAWが協業し、Peach Aviationのカメラシステムを使った空港内の遠隔監視のシステムで、プラットフォームの有効性を確認する。具体的なネットワーク構成としては、Peachの事務所の近くのNTT西日本通信ビル内にクラウド基盤を設置し、Peach事務所とデータセンターを仮想ネットワークで接続する。空港内のPeachターミナル事務所には高精細カメラを設置し、その映像をクラウド基盤を介してPeach事務所の映像監視端末に伝送する。またパブリッククラウドに相当するデータセンターのストレージに、高精細カメラの映像を蓄積する。

実証実験のシステムでは、Peach事務所近くのNTT西日本通信ビル内のクラウド基盤でカメラ映像を処理することで、パブリッククラウドへのトラフィックの削減や、映像監視端末への遅延の低減といった効果が期待できる。またインターネットを経由しないネットワーク構成を採ることができ、セキュリティの確保にもつながる。SD-WAN技術を用いることで、Peach事務所などに設置したCPEの設定作業を簡素化することもできる。実証実験ではこれらの機能や性能の有効性を確認する。実証実験の期間は2017年6月から2018年3月となる。

【報道発表資料】
IoTの拡大に資するSD-WAN技術とエッジコンピューティング技術を組合わせた新たなプラットフォームの実証実験について

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。