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イギリスのITエンジニアの60%はサービス残業の経験がない

60% of UK tech worker do not work over time

2017.09.27

Updated by Mayumi Tanimoto on September 27, 2017, 07:10 am JST

前回は日本のIT業界におけるストレスをみてみましたが、海外の場合はどうでしょうか?

例えばイギリスの場合ですが、2015年に3000人に対して行われた調査では、88%がストレスを感じており、90%は転職することを考えていると回答しています。2014年は68%だったので大幅な増加です。

約半分は仕事のために家族や私生活に影響があり、37%は子供と過ごす時間が減った、と答えています。30%は仕事のために睡眠不足であり、17%は仕事のために病気になったと答えています。また40%は最高5時間までのサービス残業をしたことがあると答えています。

この調査の結果をみると、イギリスでもIT系の人は相当なストレスを感じていることがわかります。

非常にイギリス的なのが「40%は最高5時間までのサービス残業をしたことがある」ですが、つまり60%の人はサービス残業はしたことがないわけです。やったことがある40%の人でも「最高で五時間」ということは、殆どの人はサービス残業は経験がないということです。つまり残業してるのがおかしいというわけで、サービス残業やデスマーチが常態というのは、多分先進国では日本のITだけです。

これは現場を見ていればよくわかることで、イギリスの場合は残業(オーバータイム)は基本的に有給ですから、無休はまれですし、かなり業務が厳しい会社でも、毎日3時間残業、5時間残業なんてことはありえません。中小でも6時とか7時には家に帰ります。

ただし、やはりITだと技術的な問題や時差の関係で、残業や早朝出勤、休日出勤も避けられないことがあります。

例えばシステムを通常業務時間以外にリブートしなければならない、回線の変更を週末にやる、中東の外注先とテレカンファレンスをやる、通常業務時間外にテストをやる等々ですね。管理系はそういうスケジュールは避けるようにしますが、どうしても発生してしまうこともあります。

通常の出勤時間の一時間前とか、定時後の2時間後に作業しなければいけない、なんて時は残業代をつけずにやってしまうこともあります。「最高で五時間」は多分そういう状況を反映しているのでしょう。

2014年から2015年に転職したいと答えた人が増えたのは、仮想化などでシステムの大幅な変更が増えていることや、要求変更がより結果重視になっていることもあるのでしょう。ただこれもIT業界自体をやめたいと答えているわけではなく、「転職したい」と答えている点で、雇用の流動性が高いのがわかります。このあたりも日本との違いが色濃く反映されています。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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