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手書き文字の終わりの始まり?

2017.09.27

Updated by WirelessWire News編集部 on 9月 27, 2017, 07:00 am JST

タイムズ紙の高等教育情報冊子、Times Higher Educationが毎秋公表している世界の大学ランキング。今年の1位はオックスフォード大学で、2位はケンブリッジ大学と、イギリスが上位を独占した。ちなみに日本の大学の最高は東京大学の46位だ。ランキングのほとんどは欧米、特にアメリカの大学が占めている中、22位にシンガポール国立大学、27位には北京大学、30位に清華大学(中国)、40位には香港大学、44位に香港科技大学とアジアの大学も名を連ねている。

そんな世界2位のオックスフォード大学で、試験にノートPCやiPadなどの持ち込みを許し、解答を手書き文字ではなく、キーボード入力させてはどうかという検討が行われているという。学生からの要望ではなく、採点する側から、解答用紙の学生の手書き文字が下手で判読できないという文句が上がっているためのようだ。すでに今年の前半、一部の学科で試験的に、キーボード入力可のテストが行われていて、「デジタル教育戦略」協議会が本格導入に向けた検討を進めている。

人の歴史に比べると、手書き文字の歴史は意外に短いし、紙や鉛筆や初等義務教育の普及で誰もが文字を読み書きするようになってからの歴史は結構浅いけれども、アカデミズムの世界では何百年にも渡って、手書きの文字が使われてきたはずだ。ちなみにケンブリッジ大学の設立は、およそ800年前で、日本では鎌倉時代の初期。

15年から20年前には、学生は日常的に1日に数時間、文字を手書きしていた。講義のノートを取り、図書館でもノートに書き込んで、手書きで手紙も書いていた。現在は、講義にノートPCを持ち込んでノートを取り、図書館の代わりにGoogleで検索し、手紙の代わりにショートメッセージを送りあっているから、今の学生は実質的に、試験の解答くらいしか手書きで文字を書いていないという。

手書きの手紙には人柄がにじむとか、手書きの手間を惜しまないことが誠意を示すことになるとされるものの、実際には手で文字を書く機会は日本でも減る一方だ。知らない漢字も変換キーで候補が出るし、スペルをミスすれば直してくれるから、辞書を引く機会も激減しているはず。イギリスの学生たちも、小学生時代には鉛筆とノートを使っていたはずだが、長じるに従って使う機会がなくなれば、久々に書いた文字が読みづらくてもふしぎではないし、恐らく、学生の側も手で書くよりもキーボードの方がずっと楽だと思っているに違いない。

手書きは付箋紙とか冠婚葬祭の受付の記帳、小学生の書き初めなど限られた機会にのみ実施される文化遺産、21世紀の遺物となるのだろうか。変化のスピードは、各国の識字率の向上よりもずっとペースが速いかも知れない。

<参照情報>
Cambridge University could allow laptops and iPads for exams amid fear young people are losing ability to write
http://www.telegraph.co.uk/education/2017/09/08/cambridge-university-could-allow-laptops-ipads-exams-amid-fear/

Cambridge University considers computer-based exams due to declining handwriting habits
http://indianexpress.com/article/education/study-abroad/cambridge-university-considers-computer-based-exams-due-to-declining-handwriting-habits-4838279/

Oxford and Cambridge top world university rankings
http://www.bbc.com/news/education-41160914

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