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フェイクニュースを受け取る側の心理的傾向

2017.10.17

Updated by WirelessWire News編集部 on October 17, 2017, 07:00 am JST

ソーシャルメディアを駆使するアメリカ大統領の登場でフェイクニュースという言葉もすっかり馴染み深くなってしまった。既成のマスコミの報道をフェイクニュースだと罵倒するかどうかは別として、既存メディアにもインターネットにも、多くの虚偽の情報が流れているのは事実である。

虚偽のニュースを流す発信側には、面白半分という幼稚な動機から、政敵や反対勢力、憎悪や嫉妬の対象の個人や組織、あるいは国や人種といった対象を貶める手前勝手で危険な動機まで様々である。

ネット以前の時代には、「あれは奴らの陰謀だ」とか「来月、あの山が噴火する」といった根拠の薄弱な情報は、週刊誌の煽動記事になったり、会って話せる相手に言いふらしたりする程度だったが、今や記事をコピペしたり、リンクを貼り付けたりして、ブログでもソーシャルメディアでも、誰もが簡単に拡散に参画し、貢献することができてしまう。

拡散に参加、加担する側の動機にも、悪ふざけにちょっとでも参加(大阪の言い方だと「いっちょかみ」)したいという軽いものから、難病の子供を救う募金に貢献したいという善意にかられたもの、それだけは自分としても許せないという義憤に基づくもの、偏見や憎悪を増幅したいという邪悪な動機まで、こちらも幅が広い。

コロンビア・ビジネススクールの研究によると、オンライン、特にソーシャルメディアでニュースに接触すると、そのニュースに対して事実かどうかを確認する意識が低くなるという。つまり、そのニュースに他の人々も触れているということが分かると、特に曖昧な情報を他の人々がすでに確認していると感じてしまうと、その情報の真偽に対する評価の基準が影響を受ける。みんなも読んでいて、そうだと言っているのだから、確かめるまでもなく本当だろうと思ってしまう、ということだ。

例えば、ある実験では、実験に参加した被験者に36本のニュースヘッドラインを提示した。「科学者がグレートバリアリーフの死滅を公式に確認」とか「不法移民の社会保障制度への支払額は年間120億ドル」といったものである。ニュースを見ているのが「自分だけ」(自分のログイン名だけが表示されている)の時と比べて、「他にも102名がログイン中」と表示されている時の方が、事実確認する度合いは少なかった。つまり「ニュースは本物だ」と受け取ったという。

民主党支持者はリベラルな候補者の、共和党支持者は保守系候補者の声明が真実だと受け取るものだが、ここでも個人で読む場合よりも大勢が読んでいる場合の方が、事実確認は行われなかった。こうした実験は、情報を信じるかよりも、精査しようとするかに焦点が当てられ、八つのケースについて行われた。

1. 他者が大勢いると、情報の事実確認について、他者に「タダ乗り」できると感じる

2. 他者の言葉を額面どおりに受け取ることが、社会規範を守ることになる

3. 人は、大勢だと安心して警戒心を弱める

といった理由付けの中で、特に三番目を支持する実験結果が得られているという。野生の動物が群れの中で安心感を得るように、人も群衆の中にいる方が安心ということだろうか。事前に警戒心を誘発するような指示を与えられた被験者は、事実確認を行おうとする傾向が強かったという。

フェイクニュースは、インターネット時代が来るずっと前からあったし、四大新聞や地方紙、テレビや雑誌などが、煽動などを目的に意図的な捏造報道を行うこともあれば、迂闊で稚拙な誤報を行うこともある。しかし、偽情報、嘘情報の拡散はネットの存在と、その利用者である大衆の力によって、日増しに強大になっている。

多くの場合、複数の情報ソースに当たれば、その報道がフェイクかどうかチェックできるけれども、フェイクニュースを発信し、拡散させようとする側も巧妙になってきている。

残念ながら、ニュースに触れたら鵜呑みにしてはならず、疑ってかからなければならない時代になってしまった。誹謗中傷に加担したり、攻撃によって溜飲を下げるといった意図なら論外だが、善意であれ義憤であれ、ニュースの拡散に関与する場合には、一層の注意が必要ということだろう。

【参照情報】
Perceived social presence reduces fact-checking

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