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神戸製鋼事件と日本のITの業界の凋落の関係

Kobe Steel scandal and decline of Japanese Tech companies

2017.11.22

Updated by Mayumi Tanimoto on 11月 22, 2017, 07:15 am JST

神戸製鋼や東芝の件は欧州でも話題です。品質、信頼というのは日本企業の大看板だったのですが、あれだけの隠匿や不正を、組織的に長年やっていたというのはかなり驚かれています。

ところで、個人的には、どちらも日本企業では人の回転が少ないということの短所が思いっきりでてしまった事件のように思いました。

転職当たり前の国だと、色々な業界や企業出身の人が転職してくるから「これっておかしくない?」「他社ではダメだよ」とバンバン言われて、改善していくのが珍しくありません。他社がやってるならうちもやった方がいいよね、それってリスク回避になるから良さそうね、という風になります。

もちろんそういう社会でも不正や隠匿はあります。エンロンやサブプライムローン、大手会計会社の不正はその良い例ですけども、しかし、突っ込みが入るので事前に阻止される組織も少なくありません。

人の回転が少ないと、外の視点がわからないので、隠匿、ごまかしがエスカレートしてしまう。外様というのは顎でこき使う外注や非正規雇用くらいの存在で、激しく突っ込まれることはありません。

それに、入れ替わりが少ないと、なあなあで回るようになるので、隠すのも楽になりますね。なにせ様々な部署の大勢の人が同期だったり、異動で顔見知りになりますから。

人が回転する土地では、隠匿、ごまかしをやっている組織があると「こりゃ大変だ」と気がついた人達は逃げていきます。業界は何処も狭いので噂は広がります。

もちろん、報酬がそれなりに高いところだと残る人もいるわけですが、ズブズブになってしまうと、自分の仕事人としての経歴がリスクにさらされる可能性が高いですから、賢い人、技術やノウハウがある人ほど早く移動します。ただ日本の場合、神戸製鉄や東芝のような大手だと、他社に行くと報酬が下がってしまう人の方が大半ですから難しいですよね。生活を捨ててまで会社を移動することはありません。

こういう流れは実はテック業界にも関係があって、人の回転が多いと、「これっておかしくない?」という外の視点が入りやすくなるので、「慣例だから」というのが減っていくわけです。

人がどんどん入れ替わるので、外ならこう、この方がやりやすいという風に、新しいアイディアをオープンに受け入れる雰囲気になります。

これって意外と重要で、ちょっとした改善や指摘が新しいサービスや商品につながるんですよね。予期しなかった業界への売り込みにつながることもありますし。もちろん技術動向の流れもわかりやすくなる。

しかし、例えば勤続20年、15年、随契でお守りをやってます、というという人が多い組織だとなかなかそうは行きませんね。エクセルで作った表を印刷して、上司が物差しで一行ずつ3時間掛けて検査するのが「常識」だったり、会議の資料がA3のエクセル方眼紙ですから。印刷に20回ぐらい失敗して半日かかるんですけども。

外から来た人間、特に海外から来た人が大勢いたら、「こんなもんタブレットでみればいいんじゃないの?」でおわりです。馴れ合いがないし、言い出しっぺの上司のことなんか知らないから、A3はやめてくれと言ってしまう。

こういう組織だと、新プロジェクトとか、新しい技術を入れましょうみたいな話はなかなか出ないですよね。評価される人はなあなあで仕事を回して周囲と軋轢を作らない人ですから。

日本のIT業界が負け組になってしまっているのは、単に技術だけの話じゃなく、組織の仕組みとか、雇用体系とか、そもそも日本式経営が時流に合わなくなってきているという話につながるような気がするんですが、技術論とか教育云々の話に走っちゃうのはなぜなんでしょうね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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