original image: © chombosan - Fotolia.com
ボット開発から遺伝子コードの模倣まで、イスラエルの最新鋭サイバー・セキュリティ
2017.12.13
Updated by WirelessWire News編集部 on December 13, 2017, 11:13 am JST
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2017.12.13
Updated by WirelessWire News編集部 on December 13, 2017, 11:13 am JST
「サイバーテック東京 2017」にはイスラエルのサイバー・セキュリティ関連企業11社がISRAEL CYBER ALLIANCEとして参加した。イスラエル大使館経済部のバックアップを得て参加したこれらの企業は、ほとんどが設立5年以内の勢いあるスタートアップ。今年4年目を迎えるCyberX社が自分たちを「老舗」と評するほどである。
各企業のテーブルはいずれも終始商談の予約が詰まっており、サイバー・セキュリティに関心を持つ日本企業の担当者らがひっきりなしに訪れていた。NHK・民放キー局のほか、さまざまなメディア関係者も取材に来ており、イスラエルのテクノロジーへの関心の高さがうかがえる展示会となっていた。
参加企業が扱うセキュリティの分野や手法は、ユニークでアイディアに富んだものばかりだ。一口にセキュリティといっても、ここまで多様なのかと驚かされる。しかし一方で、多くのスタートアップにはある共通点がある。企業の設立者あるいは技術担当者が、兵役においてサイバー・セキュリティの技術を習得していることである。8200部隊と呼ばれるイスラエル軍のサイバー・セキュリティ・グループは、最新鋭の技術を持つスタートアップ企業の養成所になっているのだ。
守る対象もその手法もさまざまなイスラエルのサイバー・セキュリティ企業だが、今回はなかでもとくに気になったスタートアップを紹介してみたい。
Crouns Cyber Technologies
サイバー攻撃を予測して防御する「CyBot」というサイバーボットの開発会社である。CyBotは、バーチャルマシンとしてインストールしておけば、24時間365日稼働してリアルタイムで環境を監視してくれる。やみくもにガードするのではなく、攻撃経路シナリオ技術を使い脆弱性を絞ったうえで攻撃を防ぐため、スキャン中の誤検出を大幅に低減できる。
Nubo Software
仮想モバイルインフラを開発。手元にあるモバイル機器で情報の入力、発信などはできるが、保管はすべてリモートにあるサーバーで行われるため、より堅牢な環境で情報を守ることができる。法人が契約すれば、社員一人ひとりのモバイル機器にはデータを保管させず、一括管理できるというわけだ。
Karamba Security
車両の電子制御ユニット(ECU)をサイバー攻撃から守る「Autonomous Security」を開発。ハッカーの車への侵入をブロックしECUの書き換えを防止するだけでなく、開発環境と統合することで、開発工程から堅牢なシステムにすることができる。
BGProtect
テルアビブ大学での20年の研究データをもとに、インターネットの「経路」に特化したセキュリティサービスを提供。敵対政府や犯罪組織が用いる高度なハイジャック技術によるトラフィックの傍受、記録、改ざんから顧客を守っている。また、IPアドレスの位置情報をデータベース化し、それを基盤としたネットワーク・インテリジェンスを政府機関等に提供している。
Intezer
生物の免疫システムにヒントを得て脅威検知システムを開発。マルウェアと信頼できるソフトウェアを大量のデータベースとコードに照合して判断し、防衛する。
Ironscales
古典的手法ながらいまだに多くの企業や個人の脅威となっているEメールフィッシング攻撃を防ぐシステムを開発。システムはフィッシング情報をリアルタイムに自動で共有し、検知。インシデントにも対応する。
Kryon
ソフトウェア・ロボット「Leo(リオ)」は、幅広い業務をサポートしてくれるアシスタント。事務作業をオートメーション化して生産性をあげてミスをなくすほか、次に人間が行うべき業務のアドバイスまで行う。
ISRAEL CYBER ALLIANCEに参加した企業は、その多くが今回初めて日本での商談を行なった。しかし「メーカーなど巨大企業を抱えている日本は、今後イスラエルのサイバー・テクノロジー企業にとって重要な拠点になると思う」(Intezer担当者)というように、イスラエルのサイバー・テクノロジー企業は、今後日本での展開を重要視している。日本企業にはないアイディアと勢いのあるイスラエルのスタートアップに出会ったとき、日本企業にどのようなイノベーションが起きるのだろうか。
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