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蚊の羽音で作る「世界モスキートマップ」

2017.12.14

Updated by WirelessWire News編集部 on 12月 14, 2017, 12:00 pm JST

スタンフォード大学の研究者が、世界の人々に蚊の羽音を録音して送るよう呼びかけている(「Stanford researchers seek citizen scientists to contribute to worldwide mosquito tracking」)。「Abuzz」は、世界の蚊の分布を調べるために作られたプラットフォームだ。

蚊がマラリアや黄熱病、ジカ熱、その他の伝染病を運ぶことはよく知られているが、研究者が世界の蚊の種類の地理的な分布や、その変化を調査するとなると大変な手間と時間がかかる。世界中の町や村を訪ねてサンプルを探し記録を残すなんてことは、少人数の研究室のメンバーでは実質的に不可能だ。Abuzzはそのためにクラウドソーシングを利用するという試み。一般の人々の協力を、インターネットを介して乞うという取り組みとなる。

蚊は、地球上には約3200種類、そのうち100種類余りが日本に生息していると言われるが(「蚊の情報 日本の蚊の一覧」農研機構)、一般の人々に目視で種類を見分けてもらうのは無理。Abuzzでは、羽音のデータを使ってコンピュータが種類を判別する。

プロジェクト参加者となる「市民科学者」は、身近にいる蚊の羽音を、スマートフォンなどを使って録音し、その音声ファイルをAbuzzのサイトにアップロードするだけ。飛ぶ蚊を追いかけて録音するのは難しいから、まず、プラスチックのコップやペットボトルに蚊を入れて、小さく開けた穴や口にスマホのマイクを近づけて、蚊を刺激して飛び立たせ録音する。やり方は映像で説明されている。

送られた音声ファイルは、雑音を除去し、羽音から蚊の種別を判別するアルゴリズムで分析する。録音は1秒以上が望ましいが、0.2秒でも判別は可能となっているので、コップに捕獲できなくても飛び立つ時の羽音で何とかなる。同定(生物の分類学上の種類を特定すること)が終われば市民科学者にフィードバックされ、録音のロケーションと日時の登録が促される。

蚊のいる地域で最新のスマートフォンが普及しているとは限らないから、分析のサンプルに使った音源(実験室で人工的に飼育した18種類と野生の2種類)は2006年くらいの古いフィーチャーフォンで作ったという。

ウエストナイルウイルスを媒介可能な種類にはアカイエカなど普通に見られる蚊も含まれているようだが(「蚊の情報 ウエストナイルウイルス媒介可能種」農研機構)、研究者に十分なデータがないとすれば市民の協力が重要となるだろう。ただし、残念なことにスタンフォード大学のチームは、英語だけで協力を呼びかけている。

【参照情報】
Stanford researchers seek citizen scientists to contribute to worldwide mosquito tracking

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