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2018年は有償購読の需要が高まる年となるか?

Paid subscriptions are on the rise in 2018?

2018.01.19

Updated by Mayumi Tanimoto on January 19, 2018, 10:36 am JST

2017年も日本では、キュレーションメディアの著作権侵害や不適切な情報掲載など、質の低い Web コンテンツの問題は解消されませんでした。英語圏の場合は、フェイクニュースが大問題となりました。広告モデルで収益を得るユーチューバーは相変わらず話題ですが、ページビューを稼ぐために過激な行動や、子供に対する不適切なコンテンツが大変な問題になっています。

その一方で興味深いのは、ニューヨークタイムズの様な新聞は有償購読者が増えており、(「New York Times Reports Strong Quarter on Digital Revenue Growth」)クロスワードパズルのアプリから定期収入を得るモデルも産まれていることです。

ニューヨークタイムズの購読者増加は、大統領選以後も伸びており、2017年9月には前年同時期の60%増です。オンライン有償購読者が増えたことで12月には無料提供記事の本数を減らしています。有償購読者が増えているThe Boston Globe、The Washington Post、The Wall Street Journal、The Timesも同様です。

NetflixやHuluといった有償コンテンツ配信プラットフォームも好調です(「Netflix UK PRICE RISE: Video service to increase subscription cost, here’s what you'll pay」)。

シリコンバレーでテックニュースを配信するThe Informationはシリコンバレーで二番目に大きなニュースチームを抱えていますし、テック業界を分析するBen Thompson氏の有償ニュースレター stratecheryも人気です。

米国では、ネットのアドブロッカーを使う消費者は8000万人を越えています。無償であっても広告を嫌悪する消費者は益々増えているのです。

メディアが多様化したために、時間は益々貴重なものになっていますが、同じ時間を使うなら、お金を払ってでもある程度の質が担保された情報や動画を楽しみたいという消費者も増えています。ゴミのようなコンテンツが増えれば増えるほど、質の高いコンテンツの需要が高まるというわけです。

音楽配信も、YouTubeなどで無償のコンテンツに触れたユーザーが有償の定額配信に流れたり、映画の場合はAmazon PrimeやNetflixに流れたわけですが、これも、より質が高く、検索の手間が省け、法を侵さない様な安全な環境を求めた結果ですね。テキストの方は、音楽や動画よりも中年以上のユーザーが少なくないわけで、有償購読サービスは伸びが期待できるのではないでしょうか。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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