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仮想通貨協奏曲 採掘リグ向けGPUがバカ売れ

2018.01.19

Updated by Ryo Shimizu on January 19, 2018, 08:44 am UTC

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筆者は徒歩で御徒町の会社に出社しています。
通勤路に秋葉原があり、暇さえあれば秋葉原のパーツ屋を覗いていくのですが、最近秋葉原に異変が起きています。

思えば筆者は、昔から秋葉原のパーツ屋でグラフィックボード、いわゆるグラボを買っていました。学生時代に買った5万円のVoodoo2とか、今思えばグラボの絶対価格はあの頃とそんなに変わりませんね。

筆者が学生時代にグラボを買っていた理由は、プログラミングをするためでした。最先端のGPUを搭載したグラボで、リアルタイム3D処理をプログラミングすることは筆者にとって最高の喜びだったのです。

そしてここ4年くらいは、ディープラーニングのためにグラボを買っています。ディープラーニングでは高価なグラフィックボードが必須だからです。これも大変な人気で、筆者は勢い余ってディープラーニング専用のハイエンドPCを販売するビジネスを立ち上げたほどです(DEEPstation)。

このハイエンドPCは、日本国内の大学や研究機関に飛ぶように売れていて、いまや会社の屋台骨の一つになっています。

ディープラーニング需要もすごかったわけですが、最近の秋葉原ではグラボといえば仮想通貨のマイニングに使われるのがメインになってきました。

それで「お一人様1商品につき5枚まで」という、目を疑うような制限がついています。明らかに仮想通貨マイニングの需要が高まっていることがわかります。

仮想通貨のマイニングは、たとえばグラボを6枚使ったマイニングリグ(仮想通貨採掘用PC)を使うと、一日あたり30ドルくらいになります。一ヶ月で900ドル。マイニングリグが30万円くらいで構築できるので、三ヶ月で元がとれるということになります。

あとは電気代ですが、できるだけ安いところに置くのがポイントです。エコキュートとか太陽光など、様々な方法で電気代を節約するのが重要です。

仮想通貨の採掘需要が高まっているというのはどういうことかというと、これからもっとたくさんの「仮想通貨の価値を吊り上げたい人たち」が生まれるということです。

今のブロックチェーンは明らかに計算能力が足りなくなってきています。決済の手数料は高すぎ、処理したい決済(スマートコントラクト)の数に対して処理できるブロックチェーンのマイニングノードの計算能力が足りていません。

そして、さまざまな種類の仮想通貨が乱立し、混乱状態になっています。

それでも仮想通貨採掘用にマシンが売れるということは、今後、仮想通貨採掘が儲かると考える人達が増えてきているという意識の表れなのだと思います。

ちなみに深層学習用のマシンでも仮想通貨の採掘はできますので、手軽に始めたい人は手前味噌ですがDEEPstationの購入もお勧めします。自分で組むよりは確実です。実際、筆者は個人用の深層学習用PC(DEEPstation Basic Edition)で、人工知能を学習させていない時間はずっと仮想通貨をマイニングしていて、結果的にそれが昨年200万円以上の価値になりました(利益確定しておらず仮想通貨のままなので、税務署の皆さんアップを始めなくて大丈夫です)。

現在は、仮想通貨採掘用マシンはGPUもさることながら仮想通貨の採掘に適したマザーボードが入手困難で、筆者の会社も海外の駐在員を通して独自ルートで仕入れないと手に入りませんでした。

手空きのマシンで仮想通貨を採掘するのは、仮に仮想通貨が暴落したとしても暴騰したとしても、あまり金銭的インパクトがありません。たぶん今のところ、採掘した仮想通貨の価値が電気代を下回ることは、とりあえずないと思います。

ビットコインは、10万円を超えたときにも「バブルだ」と言われていました。200万円を超えて「やはりバブルだ」と警戒した人たちによって100万円まで下がり、「暴落だ」と騒いでいますが、そもそも一昨年の年末は、15万円が10万円に下がった時に「暴落だ」と叫んでいたわけです。その頃から採掘を始めた筆者が200万円以上の価値を得たのは必然的です。

どう頑張ってもPCの電気代で年100万円かかることはありえませんから、まあ老後の蓄えだと思って持っておけばいいわけです。日本円に換金すると雑所得として処理しなければなりませんが、長期積立預金だと思えばお守りだと思って採掘しておくのはアリでしょう。

とはいえ、借金をしてまで仮想通貨を買うのは賛成できません。確かに今は、仮想通貨の値上がり率は金利よりも高いことが多いですが、買うタイミングによっては金利どころかマイナスになってしまいます。あくまで「余ったお金」とか、「余った計算能力」の範囲で仮想通貨を手に入れることができるなら、今のところ手に入れてもそれほど問題ないのではないかということです。

ちなみに筆者は一度も仮想通貨を買ったことはありません。余った時間に採掘したり、採掘した通貨を他の仮想通貨とトレードしたりしているだけです。

仮想通貨がこれほど盛り上がってきているのは、政情不安も背景にあるでしょう。いつ戦争が起きるかわからない時代、円やドルが暴落する可能性をまったく否定できない時代に、どこか特定の国でしか使えない円だのドルだのを持っていれば済むのでしょうか。極端な話、仮想通貨はたとえ難民になったとしても世界中で換金できる可能性があります。

エストニアのように、国家が仮想通貨を後押しする国も出てきました。

それは仮想通貨を支えるブロックチェーンという技術が、極めて破壊的なテクノロジーであることをようやく人々が認識しつつあるからでしょう。ブロックチェーンの有効性について、筆者も最初は半信半疑だったのですが、仮想通貨は今やここまで普及してしまったわけで、それを信じるか信じないかというレベルでは議論できないのではないかと思います。

仮想通貨が一般化したあとで、次に何が起きるか、ということの方がより重要な問題です。

今後も引き続き流れを見守っていきたいと思います。

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清水 亮(しみず・りょう)

ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長CEO。1976年新潟県長岡市うまれ。6歳の頃からプログラミングを始め、16歳で3DCGライブラリを開発、以後、リアルタイム3DCG技術者としてのキャリアを歩むが、21歳より米MicrosoftにてDirectXの仕事に携わった後、99年、ドワンゴで携帯電話事業を立上げる。'03年より独立し、現職。'05年独立行政法人IPAより天才プログラマーとして認定される。

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