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ハイファのメインストリート

イスラエル人のハヌカ太り

2018.01.19

Updated by Hitoshi Arai on January 19, 2018, 12:00 pm JST

ユダヤ教では12月中旬(2017年は12月13日から20日だった)には、クリスマスではなく、「ハヌカ(Hanukkah)」というお祭りがある。二千年以上前、イスラエルの地はギリシャ帝国に支配されていた。ギリシャ人たちは、占領政策としてヘレニズム文明をひろめ、ユダヤ教の教え(安息日を守ることやトーラーを勉強すること)を禁じた。この弾圧に対してユダヤ人は反乱を決意、紀元前165年にエルサレムの神殿を奪回した。ギリシャがエルサレムの神殿を占領していたとき、神殿の燭台(メノラー)の灯り用の油壺を汚したが、一つだけ汚されていない壺があり、しかもその油の量が一日持たない程度であったにもかかわらず、灯してみると8日間燃え続けた。この奇跡を記念した祭りがハヌカである。

ハヌカのお祭りでは、灯り続けた聖油にちなんで、ハヌキアという燭台に8日間にわたりろうそくを灯すことと、油で揚げた食べ物を食べることが伝統となっている。スフガニヤといわれるジャム入りドーナツやハッシュドポテトのようなレビボット(ラトゥケス)といった伝統料理を食べる一週間になるので「ハヌカ太り」を避けることは決して容易なことではない。

スフガニヤを目にするたびに「でも、すごいカロリーなんだよね」と反復すること自体が伝統行事となりつつあるが、これも笑い事ではないのかもしれない。というのも、イスラエルはOECD加盟国の中で子供の肥満率が最も高い水準であることが問題となっているからだ (「Report: Child obesity high in Israel」)。また、胃バイパス手術などの減量手術も急増していると報道されている(「Weight-loss Surgery Becoming Increasingly Popular in Israel, the Land of Milk and Honey」)。

※写真提供:Yoko Yamaguchi氏(イスラエル在住)。

▼スーパーに並んでいるスフガニア。中のジャムも色々なバリエーションがある。
スーパーに並んでいるスフガニア。中のジャムも色々なバリエーションがある。

▼じゃがいもと野菜の揚げ物、レビボット
じゃがいもと野菜の揚げ物、レビボット

じゃがいもと野菜の揚げ物、レビボット

▼ハヌカの期間、子供達は学校が休みになる。このためハヌカは、子供向けのお祭りの色が強くなってきた。ドレイドルと呼ばれるコマとルーレットが定番の遊び。
ハヌカの期間、子供達は学校が休みになる。このためハヌカは、子供向けのお祭りの色が強くなってきた。ドレイドルと呼ばれるコマとルーレットが定番の遊び。

▼キャンドルライティング。毎日点灯するろうそくが1本ずつ増えてゆく。
キャンドルライティング。毎日点灯するろうそくが1本ずつ増えてゆく。

▼ハヌキアという燭台。
ハヌキアという燭台。

冒頭の写真
日本のクリスマスと異なり、ハヌカはあくまでも家の中で祝われるので、イスラエルの街中では特段の飾り付けは見ないが、唯一の例外がハイファである。ハイファでは、ユダヤ教、イスラム教、キリスト教、バハイ教の人々が暮らしており、クリスマスツリーとハヌキアがハイファのメインストリートに一緒に飾られていた。
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新井 均(あらい・ひとし)

NTT武蔵野電気通信研究所にて液晶デバイス関連の研究開発業務に従事後、外資系メーカー、新規参入通信事業者のマネジメントを歴任し、2007年ネクシム・コミュニケーションズ株式会社代表取締役に就任。2014年にネクシムの株式譲渡後、海外(主にイスラエル)企業の日本市場進出を支援するコンサル業務を開始。MITスローンスクール卒業。日本イスラエル親善協会ビジネス交流委員。E-mail: hitoshi.arai@alum.mit.edu