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2018年は国内でもLPWA規格間競争の勝敗が見え始める--IDC Japan

2018.02.06

Updated by Naohisa Iwamoto on February 6, 2018, 06:25 am JST

2018年にはLPWAサービスがほぼ出揃い、規格間競争の勝敗が見え始める--。IDC Japanは国内LPWA市場の分析結果を発表し、LPWA市場にとって2018年が「重要な年」になると指摘した。

IoTに向けた広域ネットワーク技術のLPWA(Low Power Wide Area)の商用提供が始まっている。2018年には複数の主流規格のサービスが国内でも出揃い、競争環境が整ってくる。こうした中で、IDC Japanでは、国内LPWAサプライヤーのターゲット市場の特性と、それぞれに向けた戦略を以下のように分析する。

▼国内におけるLPWAサプライヤーの3つのターゲット市場(IDC Japanのニュースリリースより)
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ターゲット市場は大きく3つ。「全国カバレッジ市場」「エリアカバレッジ市場」「草の根市場」にわかれる。全国カバレッジ市場は、全国で利用される同種で多数の製品やサービスによる市場で、全国にサービスを提供する大手移動体通信事業者のLPWA(セルラーLPWA)やSigfoxがターゲットとする。エリアカバレッジ市場は、特定都市のインフラなど限定されたエリア内でのLPWA利用ニーズに応えるもので、LoRaWANが主なターゲットとする市場だ。これらよりも小規模で限定的な用途の草の根市場は、LPWAの通信規格によらない。

一方で、LPWAネットワークは、様々な設置場所や端末種別で利用されるだけに、それらの特性などによってLPWA規格のうちどれが適合するかは大きく変わる。IDC Japanでは、より安価で安定した通信を行うために複数の規格をハイブリッドに組み合わせるケースが多く、複数の規格が主流になる可能性が高いと指摘する。

今後の状況としては、2つの側面で2018年にはLPWA規格間競争の勝敗が見えてくる可能性があると分析する。1つは、今後LPWAデバイスが量産フェーズに入ることで、デバイスメーカーによる選別が進むこと。メーカーによる選別で規格の淘汰が始まると見る。もう1つは、LPWAサービスが出揃い、技術的優位性の提供とエコシステムの構築に成功した規格が規格間競争に勝ち残るフェーズに入ること。これらにより、2018年には早くもLPWA規格間競争の勝敗が見え始める重要な年になると予測する。

【報道発表資料】
国内LPWA市場分析結果を発表

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。