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プリム祭 観光

超正統派もどんちゃん騒ぎ、国中がにぎやかな「プリム祭」

2018.03.14

Updated by WirelessWire News編集部 on March 14, 2018, 07:00 am JST

毎年2月の終わりから3月にかけて、ユダヤ教では子供達に大人気のプリムというお祭りがある。ユダヤ版ハロウィーンではないが、仮装をして楽しむ伝統がある。

由来は、旧約聖書のエステル記に書かれているストーリーである。紀元前5世紀、ペルシャ帝国のハマンという大臣がユダヤ民族絶滅の勅書を王から取得し、公布した。貧しいユダヤの娘から王妃に出世したエステルが、身を捨てて王に直訴し、勅書が取り下げられ、ユダヤ人が救われたことを記念している。

今年は2月28日がプリムだった。プリムの週末(3月2日、3日)は、多くの人が外へ出て陽気に街を練り歩く。プリム祭のある一週間は、幼稚園や小学校に通う子供を持つ親は毎日違う仮装をさせて学校に行かせなければならず、小学生の子供たちを持つ親たちを見ているとなかなか大変そうである。

とはいえ、親も一緒になって日替わりで仮装をして一週間を楽しみながら乗り切るのがイスラエル流。会社でもこの週には仮装パーティがある。エステル記には、「ユダヤ人が敵をなくして安らぎを得た日として、悩みが喜びに、嘆きが祭りに変わった月として」宴会をして楽しみなさい、と書いてあるようだ。

また、タルムード(律法)には、この「喜び」を表すのに「めちゃくちゃに酔っ払え」と書いてあるらしい。普段はシナゴーグ(ユダヤ教の会堂)で熱心に祈りを捧げ、お酒もワインを嗜む程度にしか飲まない正統派ユダヤ教徒たちも、この日ばかりはコスチュームをつけてエステル記を読み上げ、酔いつぶれて楽しむことが戒律となっている。このため、プリムは他の厳粛さのあるユダヤ教のお祭りとは雰囲気が異なり、子供も大人も毎年楽しみにしている賑やかなお祭りだ。

1月の記事「イスラエル人のハヌカ太り」で紹介した「ハヌカ」同様、「プリム」も聖書に書かれているでき事に由来するお祭りである。イスラエルには聖書に由来する祝祭日がこのほかにもあるので、それらについても別途紹介したい。

▼シナゴーグでのエステル記の読み上げには子供も大勢集まる。エステル記はそのドラマチックなストーリー展開で、ユダヤ教徒でなくても結構楽しめる。
シナゴーグでのエステル記の読み上げには子供も大勢集まる。エステル記はそのドラマチックなストーリー展開で、ユダヤ教徒でなくても結構楽しめる。

▼テルアビブの中心地はどこも仮装した人で溢れていて、観光にもおすすめ。
テルアビブの中心地はどこも仮装した人で溢れていて、観光にもおすすめ。

テルアビブの中心地はどこも仮装した人で溢れていて、観光にもおすすめ。

▼毎年DJが大音量の音楽をかけてクラブ化するHaMedinaスクエア。
毎年DJが大音量の音楽をかけてクラブ化するHaMedinaスクエア。

▼日本のハロウィンと比べると完成度はあまり高くないかもしれないが、オリジナリティ溢れる仮装ネタが面白い。
日本のハロウィンと比べると完成度はあまり高くないかもしれないが、オリジナリティ溢れる仮装ネタが面白い。

▼プリムのお菓子オズネイ・ハマン(悪役ハマンの耳)、三角形のクッキーで中にジャムやチョコなどのフィリングが入っている。
プリムのお菓子オズネイ・ハマン(悪役ハマンの耳)、三角形のクッキーで中にジャムやチョコなどのフィリングが入っている。

※写真提供:Yoko Yamaguchi氏(イスラエル在住)。

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