WirelessWire News The Technology and Ecosystem of the IoT.

by Category

銀行 オンライン イメージ

なぜ欧州ではチャレンジャーバンクが流行るのか?

Why are challenger banks popular in Europe?

2018.04.30

Updated by Mayumi Tanimoto on April 30, 2018, 13:00 pm UTC

欧州のフィンテックにおいて今年注目される事のひとつはドイツのチャレンジャーバンクである「N26」の英国進出です。

英国ではすでに「Revolut」や「Monzo」の認知が高くなっており、ミレニアム世代を中心にユーザーがどんどん増えているわけですが、N26がどの程度のユーザーを掴めるのか注目が集まるところです。

ところで、欧州でチャレンジャーバンクがやたらと普及しているのには欧州独自の理由があります。

まずそもそも欧州の銀行というのは、顧客よりも銀行の方が強いのでサービスの質が酷いというのがあります。

例えばイタリアの場合、銀行の口座を開くのに銀行の窓口でちゃんとした予約を取ってもその予約が3週間後で、さらにバカンスに予約をされることがあったりします。

英国の場合は、ATMが故障していることが多く、大手の銀行の窓口に行っても4台中2台が壊れていたり、現金を引き出しても出てこないのに、口座からはお金が引かれるということが発生します。

そんなことが発生しても銀行の窓口の人も受付の人も絶対に謝りませんし、何の証明書もくれなかったりします(次の日に行けばお金は返してくれたりはするのですが)。

また、大手の銀行でも、支店に行くと窓口には人が二人しかおらず、入金や出金をお願いしたりするのにも、かなり下手に出ないと処理してくれないこともあります。さらに、窓口に行くだけで思い切り嫌な顔をされたりします。

銀行が閉まるのは5時ですが、4時半頃に行くと様々な理由をつけて頼んだことをやってくれないこともあります。

そもそも銀行の支店には、お客さんが座る椅子がありません。入り口も床も、掃除が行き届いていないのでホコリだらけです。

さらに大手の銀行はオンラインバンキングが使いにくく、ユーザーフレンドリーではありません。モバイルファーストではないのでスマホに対応してない銀行もあります。

ひどい場合はオンラインバンキングがインシデントで数日から一週間ダウンすることもあります。例えばイギリスのTSBは先日メジャーアップデートに失敗し、サービスが一週間ダウンです。

ATM カードやクレジットカードを使って支払いをしたり、送金を受け取っても、履歴が反映されるのは次の日だったりしますし、送金もかなり面倒です。

さらに銀行は、すでに解約したカードの書類を送ってきたり、間違った種類のカードを送ってきたりします。しかしその場合も、当然謝罪はなく、訂正に1カ月くらいかかることがあります。

このように、既存の銀行のサービスの質があまりにも低レベルなので、 スマホファーストでカスタマーサービスも素晴らしく、送金も容易で、 カードをすぐに止めることができたり、支払い記録がリアルタイムで口座に反映されるチャレンジャーバンクのサービスに飛びつく人が多いわけです。

例えばRevolutの場合は、不正利用に気がついたらその場でスマホからカードを止められますし、複数通貨を口座に入れておける上にインターバンクレートでその場で両替可能で、全世界にどこにでも再発行したカードを送ってくれます。

プレミアム会員だとその場で使い捨て可能なカード番号が発行されたり、旅行保険や24時間のカスタマーサービスがついてきますし、暗号通貨の売買もワンタッチです。

カスタマーサービスの担当者は英国人で英語が通じますし、訛もありませんので、インドやハンガリーなどの英語を聞き取る苦労がありません。しかも、プレミアム会員の会費は大手の口座維持手数料の半分以下です。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

RELATED TAG