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マルタ島 海 交易 イメージ

マルタは欧州のブロックチェーン中心地となるか?

Would Malta be a blockchain capital of Europe?

2018.04.30

Updated by Mayumi Tanimoto on 4月 30, 2018, 08:20 am JST

欧州では相変わらずブロックチェーンが盛り上がっていますが、先々週のロンドンのブロックチェーンExpoでやたらと名前が挙がっていたのがマルタです。

マルタはイタリアの隣にある小島ですが、一応独立国で、淡路島の半分程度の面積、人口約38万人の小さな島国です。元イギリス植民地ですが、住人は不思議な感じで、英語は話しますが、イギリス系でもなくイタリア系でもなく、しかしアラブの血も入っているというなんだかエキゾチックな感じです。

欧州における熱海か新島のような立ち位置で、雰囲気は寂れた伊豆半島。バナナワニ園があってもしっくり来る感じです。

観光で食べているので、高齢者向けに激安の長期滞在パッケージツアーを販売しています。イギリスやドイツの長期滞在者が多いので、イギリスのソーセージやドイツのシリアルも手に入ります。冬だと3週間5つ星ホテル滞在で3食往復飛行機付で5万円ぐらいですね。朝食のバイキングは一見すると老人ホームです。

マルタ産マグロを買ったことがある方もいると思いますが、地中海マグロの漁場でもあります(でも輸出されてしまうので地元では買うのが大変)。道にはロンドン交通局の中古のバスが走っています。

小さな島ですので観光とマグロ漁以外にはこれといった産業がないため、映画のロケ地として入江を貸し出したりしたり(トロイはここで撮影されています)、鈍った英語の先生が日本人向け英語合宿をやっていたりします。その他に欧州のタックスヘイブンとしても有名で、年金生活者は所得税がお得だったり、欧州相手の取引では便利な場所であります。

さて、このマルタがブロックチェーン界隈で最近熱くなっています。日本を始めとする各国で規制対象となってしまったBinanceが本社を移すことでも話題になりましたが、マルタ政府は各国の規制が厳しくなるのをチャンスと捉えて、世界中のブロックチェーン、暗号通貨企業の誘致に乗り出しています。

ステップ1では、中心的な役割をになうMalta Digital Innovation Authorityの仕組みを整備し、ステップ2では暗号通貨およびブロックチェーン企業の審査と許認可の仕組みを整え、ステップ3ではICOのフレームワークと規制に関する法を整えます。

詳細は「Malta Digital Innovation Authority」のコンサルテーションペーパーに明記されていますが、かなり具体的な内容で一読する価値ありです。

ブロックチェーンや暗号通貨にフレンドリーな国というと、ジブラルタルやスロバキア、エストニア、キプロス、ドバイがありますが、マルタのアプローチはホリスティックなので、頭一つ抜けている感じがします。

イギリス旧植民地なので英語で全て済んでしまうのが大きいですし、何より政治的リスクが低いのが長所です。一応リゾートなのでホテルも充実してますし、イタリアの隣なので「食」も高いレベルです。田舎なので飽きますが住めなくはないですね。

ジブラルタルとキプロスの場合は紛争リスクを抱えてますし、スロバキアとエストニアはなんだかんだいってまだまだ旧共産圏的文化が残っていて面倒ですし、マルタほどには英語が通じません。ドバイは欧州より遠く、気候が厳しいのもあって駐在を嫌がる人も少なくありません。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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