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通信事業者にとって収益と成長の確保は重要な課題です。Sandvine CTOのAlexander Haväng氏が、仮想化技術を適用したネットワークサービスの提供によるエンタープライズ市場の収益化の1つの解を紹介します。

▼Alexander Haväng Chief Techonology Officer, Sandvine
Alexander Haväng Chief Techonology Officer, Sandvine

通信機器の「筐体販売」ではなく「サービス提供」へ

通信事業者(オペレーター)には課題が山積しています。加入者ごとの収益であるARPUを伸ばしている通信事業者は少なく、全世界の平均でも年間2%程度の成長が現実です。通信事業者は、長年に渡る成長を確保するため、ARPUの伸ばし方を検討しています。一方で、コネクテッドカーやIoT(モノのインターネット)が台頭してくる中で、どこに収益の機会が埋もれているかをも探さなければなりません。加入者は、すでにこれ以上大きな財布は持っていませんが、より広い帯域の通信を期待しています。競合他社に乗り換えられてしまわないために、加入者のニーズにあったサービスプランや質の高いネットワークを提供していかなければならないのです。今後、成長の可能性が高いと考えられるのは、個人向け市場よりも法人向け市場の「エンタープライズ」でしょう。

エンタープライズの市場で注目されているのは、vCPE(Virtual Customer Premises Equipment)、SD-WAN(Software Difined Wide Area Network)といった仮想化ソリューションです。vCPEは顧客宅内に設置するルーターやスイッチ、ファイアウォールなどの通信機器の機能をネットワーク側に移して仮想化するもの、SD-WANはネットワークをソフトウエアで定義して利用できるようにするものです。いずれも、ハードウエアで実現していたネットワークの機能を、ソフトウエアで仮想的に提供できるようにします。

Telco CloudとvCPEサービスで新しい収入源を創出せよ

これまでの通信機器(CPE)は筐体があり、エンタープライズにオンプレミスで物理的に存在していました。ただし、通信事業者にとっては筐体を販売しただけでは収益を生み出しません。筐体を「as a Service」としてネットワーク上に配置し、ユーザーの代わりに運営することで利益が生まれるのです。これが、通信事業者にとってのvCPEの定義といえます。

それでは、どこに「筐体 as a Service」を置くか、それが問題になります。物理的な筐体をユーザーに販売して、ハイパーバイザーやクラウドをその上で動かす方法があります。この方法は実現可能かもしれませんが、エンタープライズに筐体を置かなければならないので、多くの企業が選ぶとは思えません。一方で、通信機器の「筐体 as a Service」をクラウド上のOTT(Over the TOP)プレーヤーがホスティングして、エンタープライズに課金する形態もあるでしょう。ただし、このケースでは通信事業者は通信回線を提供するだけで、vCPEのサービスの提供という面ではすっ飛ばされてしまいます。

その中間として、米国ではセントラルオフィスと呼ぶ場所があります。数百から数千のエンタープライズの加入者を収容する場所です。さらに上位にはTelco Coreと呼ぶコアネットワークの中継点があります。通信事業者のネットワーク上にあるこれらの拠点に、Telco Cloudと呼ぶクラウドを用意してvCPEの機能を提供することで、通信事業者は「筐体as a Service」を自らのビジネスにできるわけです。

vCPEが価値を提供するユースケースとは

それでは、通信事業者がvCPEをサービスとして提供する場合の、実際のユースケースを考えてみましょう。まずは、固定回線のエンタープライズ利用のケースです。

Telco CloudとvCPEサービスで新しい収入源を創出せよ

サンドバインでは、図の左側にあるようなユースケースのポートフォリオを用意しています。例えば「アプリケーションファイアウォール(FW)」では、エンタープライズが自社のポリシーによって社員のネットワーク利用に制限をかけることができます。社内ネットワークでSNSを使えるようにするか、オンラインストレージを使えるようにするか、さらに生産性向上やセキュリティ対応などの側面で採用が検討されています。また、「アプリケーションシェイピング」ではアプリケーションごとのトラフィック管理を行います。財務系のアプリケーションがきちんと動くか、ユーザーがピアツーピアの高画質動画を見ていないかなど、様々な観点からの管理が可能です。分析の視点からは、「トラフィックアナリティクス」によって、実際に従業員がvCPEを使って何をしているか、どのような品質で、どのようなアプリケーションの機能を利用しているかといったことを確認できます。

図の右側の機能は、サンドバインでは直接提供していないユースケースです。DHCPやDNS、VPNなどが並びます。これらは、オープンソースのソフトウエアを利用したり、サードパーティに構築してもらったりすることが可能です。

モバイルのユースケースに目を向けてみましょう。図を見ればおわかりのように、基本的なユースケースは固定の場合と大きな違いはありません。その中でモバイルならではのユースケースを紹介します。サンドバインでは「クオータオプティマイゼーション/ビルショックプリベンション」「ロケーションアナリティクス」といった機能をポートフォリオに用意しています。

Telco CloudとvCPEサービスで新しい収入源を創出せよ

クオータ(Quota)とは割当などの意味で、モバイルで利用する通信量の割当を最適化するのがクオータオプティマイゼーションです。全従業員がモバイルでデータ通信を大量に使ってしまったり、海外のローミングサービスで多量のデータ通信をしてしまったりして、高額な請求が寄せられる「ビルショック」を防ぐことができます。ロケーションアナリティクスでは、場所によってどのようなアプリケーションをどのように利用しているかを確認できます。海外に出張したときに、どの種類の通信にどのくらいのトラフィックがあるかを分析することで、適したプランやサービスの提供が可能です。

通信事業者はvCPEをサービスとして提供することによって、こうした高度な機能をユーザーに提供することができます。モバイルと固定のサービスを同じ通信事業者から購入することで、ユーザーに割引料金を適用することもできるでしょう。

実際のところ、vCPEのスケールはどのようなものでしょうか。現状ではvCPEを実現するためのハードウエアは1万ドル程度のコストがかかります。このハードウエアでは、100から500のvCPEインスタンスを立ち上げることができ、エンタープライズユーザーを収容できます。すると、1エンタープライズあたりのコストは20〜100ドルに収まります。3年で償却することを考えると、エンタープライズあたり月額50セントから3ドル/月程度のコストで済むわけです。vCPEの機能に対して、コストを上回るように例えば10〜50ドルといった月額料金を設定すれば、vCPEサービスが通信事業者の収益源になる計算です。

Telco CloudとvCPEサービスで新しい収入源を創出せよ

ユーザーに価値を提供するポータルで収益を最大化

エンタープライズというと、日本では大企業が多いですから、数万人の大きな会社を想像しがちです。しかし、米国をはじめとして通信事業者のほとんどのビジネスは小規模の会社からの収益で成り立っています。10〜1,000人程度までの従業員の会社です。こうした会社では、ITの要員を雇いたくないですし、サーバーやネットワークに大きな費用を払うこともいやがります。月額数ドルの費用でネットワークをサービスとして管理してもらえることを求めているのです。そうしたサービスを提供できれば、多くの小規模の会社は通信事業者に協力的になるはずです。

プロセラネットワークはサンドバインを買収し、新生サンドバインとしてスタートしています。vCPEの分野で新生サンドバインは、かなり先を進んでいるという自負があります。その中で、良いサービスを提供しているといえるのが、「Cloud Service Policy Controller(クラウドサービスポリシーコントローラー)」です。これは各種のvCPEサービスについて、セルフサービスのポータルとなるコントローラーです。

Telco CloudとvCPEサービスで新しい収入源を創出せよ

ユーザーはvCPEが提供する機能を、Cloud Service Policy Controllerを使うことで、自社のポータルとしてカスタマイズして構築、管理ができるわけです。エンタープライズでバーティカルなものヘルスケア、金融関係、ニッチなユースケース、一般的なユースケースなど、多くのユースケースに対応していますから、vCPEサービスをユーザーが容易に使いこなせるようになります。ユースケースは、大きく「アナリティクス」「セキュリティ」「アプリケーションコントロール」の3つのグループに分けられます。

固定回線でのCloud Service Policy Controllerのユースケースとしては、脅威に対するインテリジェンスがあります。vCPEで何をブロックしたかをユーザーに提示し、さらに分析して脅威から守るものです。既知の脅威にアクセスさせないためには、Webコンテンツのフィルタリングがあります。モバイル回線でのCloud Service Policy Controllerのユースケースとしては、ユーザーロケーションマッピングがあります。従業員がどこにいて、どれだけ使ってるかをポータルで容易に把握できます。トラフィックのQoSを管理できるモバイルアプリケーション管理や、従業員のIDごとの利用状況をレポートとして出力できるモバイル利用レポートも用意しています。

サンドバインでは、通信事業者がvCPEをサービスとして提供するための仕組みを提供するだけでなく、ユーザーのエンタープライズがvCPEサービスを有効に活用できるようにするためのポータルの仕組みも用意しています。こうしたサンドバインのvCPEとクラウドのポートフォリオを活用することで、通信事業者はエンタープライズを新しい収益源としたサービスを提供できるようになるでしょう。

【関連情報】
ネットワークインテリジェントを提供する サンドバイン
メールでのお問い合わせはこちらまで japansales@sandvine.com

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特集:トラフィック可視化で変わるネットワークの姿

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