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AI時代の到来はコミニケーションが苦手な人に有利か?

Socially dysfunctional can be a king of the AI society

2018.08.28

Updated by Mayumi Tanimoto on August 28, 2018, 07:38 am UTC

日本でも海外先進国でも、IT業界であっても、コミニケーション・スキルは必須だと言われて久しいわけですが、AI時代にも体育会系が得意とするような飲みニケーションや、口先三寸の営業トークができれば昇進に有利だったり、高い報酬を得られるのでしょうか?

しかし、ここ数年の動きは、コミュニケーション必須論とは逆の方向に進んでいる気がします。

例えば、米国政府の労働統計は、人とのコミュニケーションがあまり必要ではない仕事を数値化してランキング化(The 18 best jobs for people who hate people)しているのですが、そのトップは鋳物職人です。

そしてランキングは以下のようになります

鋳物職人

採掘作業員

農機具の運転者

経済学者

漁師

農業

鉄鋼職人

溶接工

織物職人

交通車両の塗装職人

土壌調査士

数学者

統計専門家

作家

等々

ランキングは「手に職系の熟練職人」と「高度なスキルが必要となる知的労働」だらけです。

コミュニケーションの必要がなく一人で集中してやる仕事ばかりなわけですが、注目すべきなのは、その二つのカテゴリの仕事というのは、先進国では人で不足なので、報酬がかなり高い、ということです。

例えば、統計専門家や数学者は大学で学ぶのを嫌がる学生がかなり多いため、どこでも人不足の一方で、ビッグデータやAIの発展で需要は高まっています。

農業機器のオペレーター、溶接工、織物職人といった仕事は、海外に移転できない仕事なので先進国でもまだまだ需要がありますが、修行やスキルが必要なので若い人がやりたがらず人不足で賃金も高めです。

例えば、英国北部は繊維産業や高級アパレルの会社があり、生産をすべて海外移転しているわけではないので、織物職人や縫い子さんの需要があるのですが、人不足のため商工会でも問題になっています。待遇は悪くなく賃金も良いのですが、熟練スキルが必要なので人が集まりません。

その一方で、電車での遅延払い戻し事務、保険金申請、銀行の窓口業務、空港のチケット発行といった仕事はどんどん自動化されていて、メールの返信までAIで自動化されてきています。英国でさえ、そういう作業はAIを導入していて恐ろしいスピードで効率化しているので、単純事務作業はどんどん人が必要でなくなっています。

かつてはこういう仕事は、コミュニケーションや職場の仲間とうまくやることが重要でしたが、今や仕事自体が消えているわけです。

英国では、保険営業や証券営業、不動産営業のように、コミュニケーションが上手な体育会系が有利な仕事がどんどん消えています。

コミュニケーションが苦手で、不登校なので家でホームスクーリングを受けていたが、数学やプログラミング、土壌調査は得意だ、などという人は従来は仕事を探すのが大変だったわけですが、今やそういう人が高い報酬と安定した地位を得られる可能性が高いわけです。

むしろ、学校に行ってコミュニケーション・スキルを磨くほうが、将来食べられなくなってしまう可能性が高いかもしれませんね。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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