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ここ数年、日本だけではなく他の国でもライドシェアやタクシーの自動運転がかなり話題になってきており、ウーバーのようなサービスは日常に溶け込んでいて、ごく普通のものになっているわけですが 、次のトレンドとして注目されているのは空飛ぶタクシーです。 

英国の地方都市ブリストルのスタートアップのVertical Aerospaceは、2022年から英国国内で空飛ぶタクシーサービス開始と発表しています。

同社の社長は エネルギー会社OVO Energy創業者のStephen Fitzpatrick氏ですが、F1チームを所有していた際に学んだ技術発展のスピードや効率化を空飛ぶタクシーに生かすとしています

このタクシーはドローンのような形状で、eVTOL(電力式垂直離着陸機)と呼ばれ電気で飛びます。

現在、同じく空飛ぶタクシーに取り組んでいるUber ElevateとRolls-Royceの飛行タクシーサービスとの競合になります。

ここで注目するべきなのは、これらの会社が空飛ぶタクシーを、単なる新規性を求めて提供しようとしているわけではないということです。

そこには欧州の各都市が悩む交通事情があります。

欧州では、空港と道路の混雑や列車運行遅延などが大問題なので、空港以外の場所でも簡単に離発着できて、汚染が少なく、短距離を飛ぶ飛行機の需要があります。

欧州というのは北米に比べて土地が狭いですから、道路も狭く、空港周辺から都市部というのは大変な交通渋滞が少なくありません。

欧州は狭いので、国と国を移動しても飛行機で1時間とか2時間以内で到着してしまうことが多いのですが、空港から都市部に出る方が時間がかかってしまうということがよくあります。

歴史的な建造物や中世の街並みがそのまま残っているところも多く、航空機が離発着できるような場所というのも多くありません。

空港を拡張するのにもそもそも都市の近くに手頃な土地があまりなかったり、 都市計画の規制が厳しいですから、自治体から許可が下りなかったり、住民からの激しい反対運動があることが普通です。

これは空港拡張だけではなく道路の建設や公共交通機関の増設などでも全く同じです。

 しかしグローバル化や人の移動の増加で、どこの大都市でも移動する人の数は増えています。激安航空会社の増加などで航空便も増えています。

そういった状況の中で、企業経営者や比較的収入の高い企業幹部や専門職の人々というのはタイム・イズ・マネーですから、時間を節約して移動したいと考えています。

しかし、既存のタクシーや公共交通機関では時間がかかりすぎまし、 遅延や車両の故障などが頻繁で信用ができません。

かといって空港から市街地に出るのに使用可能なヘリコプターサービスというのは、1回100万円くらいかかることもあり費用が高すぎます。

そこで、公共交通機関のような格安サービスとヘリコプターのような超高価格帯のサービスの中間になる空飛ぶタクシーがのようなサービスが提供されればちょうど良いというわけです。

つまりこれは、ある意味、グローバリゼーションと格差社会の広がりがあるからこそ需要が産まれるビジネスであるとも言えるでしょう。

移動が激増し、ある程度高めの費用を払っても時間を節約したい裕福な個人や企業幹部が出てきている、ということなのです。

おそらく10-15年後には、低所得層や中流層は従来のようにタクシーや公共交通機関で空港と都市部を往復し、裕福な人々は電気飛行機や大型のドローンで移動するというのが当たり前の光景になるでしょう。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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