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なぜイギリスとイタリアにはデスマーチがないのか?

Why UK and Italy's tec

2019.02.25

Updated by Mayumi Tanimoto on February 25, 2019, 19:15 pm JST

前回は、電車遅延の場合、イタリアやイギリスでは通勤を諦める人が多いと書きました。会社側もどうぞ来ないでくださいといいます。通勤を諦めた人々は、さっさとパブやバールに行って昼から飲んでいます。

一日会社に来なかったらかと言って、仕事が困るとか、会社が潰れるということはないからです。

日本では25日に起きた中央線の事故で、通勤しようとする人が駅に溢れまくったのと正反対ですね。

ところで、こういう国では作業の間違いや、事故などの不可抗力やストのために仕事が予定通りに進むことはあまりありません。

多くの職場では、スケジュールを組む時になるべく多めのバッファ(余裕)を組み込んでおきます。

さらに、その人がいなくてもすぐに仕事が代替可能なようにマニュアル化を進めたり、在宅で仕事をできる体制を整えておきます。

このようなバッファやその人がいなくても仕事が進む体勢を整えてあるということは、実は普段の仕事にも関係があります。余裕を持って無理をしない仕事のやり方をしているので、そもそもこういう国のIT業界では「デスマーチ」が発生しません。

遅延することや人員が不足することを最初から想定してスケジュールや要員計画を組んで、ギリギリの状態ではやらないからです。

ですから、IT業界や企業の情報システム部も定時上がりが当たり前です。普段から60%ぐらいの力でしか仕事をしないからです。

余裕を持って仕事をするので、要員の精神的な負担が少なく、イライラしませんので、実は生産性は高く、短時間でアウトプットを出すことが可能です。

職場の雰囲気も和気あいあいとしているところが多く、日本の感覚では遊んでいるように見えるでしょう。

しかし、そういう遊び的な感覚が創造性や創意工夫に重要です。

このような余裕を得るための工夫も結構あって、例えば

・社内用の資料はごく簡単に作る

・紙を印刷しない

・打ち合わせは必要最小限

・打ち合わせは意思決定の場

・無駄な作業を徹底して省く

・マニュアルや文書を整備し過去の成果をリサイクルしやすくする

・最初から熟練した経験者を中途やコンサルタントとして雇う

・社内行事は極力やらない

・便利なツールをどんどん入れる

・儲かる仕事しかやらない

・定義された要件以外の作業はしない

・お客が合意した要件の変更は認めない

・お客にノーという

・役割分担をはっきりする

・具合の悪い人はさっさと休ませる

・楽をして成果を得た人を称える

といったことです。

基本的な哲学は「良いプログラマー」になる人の要件と同じです。(つまり怠け者ということです)

日本のIT業界でも今すぐ取り組めることも多いので、是非参考にしてください。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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