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日本企業の採用方法がAI時代に合わない理由

Japanese company's recruitment won't fit to AI era

2019.04.28

Updated by Mayumi Tanimoto on April 28, 2019, 11:50 am UTC

日本企業の採用方法は、ここ40年ほど大きく変わっておらず、多くの企業で新卒一括採用を実施して中長期で従業員を雇用することを前提としているところが多数です。

日本企業の雇用形態にも変化が現れてはいるわけですが、しかし採用に関しては大きな変化を遂げているとは言えません。

新卒一括採用のような方法というのは、英米でも実は40年ほど前には存在していた方法です。

私のイギリス人の義理の両親世代や、その上の世代は、新卒大量採用で終身雇用のような形で仕事をしていました。

私がアメリカに留学していた頃にお世話になっていた宣教師のご夫婦も、1950年代に働き始め似たような形で雇用されて働いていました。

ところが、どちらもITやなどの知識産業が台頭してくると採用方法も雇用形態も大きく様変わりしてしまいます。

新卒は就職するのが難しくなり、中途採用が当たり前になりました。

終身雇用はなくなり、個人の専門に沿って必要な時に必要な人を採用する形式が増えました。

現在では正社員の割合を極力減らして超短期間のプロジェクトで雇用契約を結ぶ形態がどんどん増えています。

さらに、ここ5年ほどの間に目立ってきたのが、ソリューションに着目した採用です。

テック企業は、hackathonや大学のキャンパスにおける問題解決イベント、オンラインのコンテストなどで、実際に課題を提示して、面白いソリューションを提案できた人やグループを採用するという形態をとるようになってきています。

つまり評価するポイントというのが、出身学校や学位ではなく、解決策や創造性になってきているわけです。

この傾向というのは、世の中がAI 時代になってきているということと密接な関わりがあります。

AIというのは、そもそも人間がアルゴリズムを設計しインプットを入力することで人間が効率的に意思決定できるようにするための道具です。

AIは、究極的に人間をより賢くする技術なのです。

しかし、その元は人間が設定し、入力するデータの質を判断するのも人間になるわけですから、人間を機械に置き換えるものではありません。

もちろん事務作業や定型作業、行動パターンの検出などは AI が置き換えるようになり、人間がやっていた仕事を自動化できるわけですが、ビジネスプロセスの中においてすべてをAIが実行するようになるというわけではありません。

AIを作り出すためには、創造性や問題解決力がある人が必要になるということです。

こういった能力というのは、履歴書や学歴だけではわかりませんので、実際に目の前で物を作ってもらったり問題を解決してもらって優秀かどうかということを判断する方が早いわけです。

そして技術の変化も以前に比べると早いですから、学習能力があるのかどうかということも重要になります。 

つまり、18歳の時点でのピンポイントの暗記能力やテストに回答する能力というのが、 AI 時代にはあまり意味がないということです。

こういった暗記力やテストに正確に答える能力というのは、製造業が産業の中心であり大量生産が自由だった頃には有効だったわけですが。

このような変化の中で、日本企業は相変わらず新卒一括採用を行っています。事実上、終身雇用制度が崩壊し、製造業はどんどん衰退していくというのに、40年前と変わりません。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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