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リクナビの「内定辞退データ」が提示する日本企業の内向きさ

Rikunavi’s data scandal reflects Japan’s inwardness

2019.08.18

Updated by Mayumi Tanimoto on August 18, 2019, 08:50 am UTC

前回は、リクナビが就活生のサイト閲覧歴等のデータを加工して、「内定辞退率」予測を作成し、「リクナビDMPフォロー」として大手企業に販売していた件がGDPR違反になるかどうかを検討しましたが、この事件は、実は個人情報保護問題以上に大きな課題を提示しています。

リクルートキャリアのような大手企業がこの様なサービスを実装してしまった上に、クライアントである大手企業がデータを購入していたのは、日本企業の少なからずがあまりにも内向きである、ということです。

サービス設計者もクライアント企業も、ユーザーが国外からアクセスすることをまったく想定しておらず、GDPR違反になる可能性を想定していません。

企業規模やサービス開発に使用された資金の規模を考えると大問題です。リソース不足は言い訳になりません。

これはサービス担当部署だけではなく、サービス開始、さらに、データ購入を承認した上層部に、グローバルな視点がまったくなかった、ということを示唆します。

さらに、国外のユーザーをまったく想定していなかったということは、リスク管理部、法務部も仕事をしていなかった、もしくはチェック体制がなかった、ということです。

データが世界中を行き交うことが前提な現代において、日本を代表するような企業が、北米や欧州の大手企業であれば当たり前にやっているデータガバナンスと付随するリスクをチェックしていなかった、その体制がなかったとしたら大問題です。

データガバナンスさえ整っていない状況で、その他の部門は妥当なリスク管理を行っているのか、グローバルな視点はあったのかという点は、株主としては気になるのではないでしょうか。

「割れ窓理論」ではありませんが、細部の問題からからその企業の本質が見えてきてしまいます。

さらなる問題は、日本国内の議論が国内法だけの枠組みに注力していることです。

今やネットサービスは、データが国内だけではなくグローバルに移動するわけですから、国外のユーザーに対する問題も議論されるべきです。

これは、日本全体が内向きになっている事と関係があるのでしょう。日本のIT業界からは、海外でも人気になるサービスやソリューションがほとんど登場しない理由を示唆していないでしょうか。

マスコミも企業も、普段から海外の状況にまったく興味がなく、議論も調査もしていないわけですから、国外のユーザーの需要や要望を掴めるはずがありません。

北米や欧州諸国は、ITを国家の重要戦略として位置づけ、国内だけ見ている企業は少数派です。しかし日本は、縮小していく国内市場を抱えているにもかかわらず、IT業界だけではなくマスコミも他の業界も実に内向きです。サービスや物を買う人が減っていくのですから、外に目を向ける他ないにもかかわらずです。危機感が欠如している、現実逃避している、としか言えません。

この事件は、IT業界だけではなく日本の先行きに関して、かなり芳しくない状況を提示しているのではないでしょうか。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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