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これは便利 どこでも充電器をレンタルできるCharge Spot

2019.09.25

Updated by Ryo Shimizu on September 25, 2019, 08:37 am JST

海外から日本に戻ると、とにかくタクシーサービスのUberも電動スクーターシェアリングのLimeもないという状況はかなりストレスに感じる。正確にはUberは存在するが欧米ほどカジュアルに呼ぶものではないイメージがある。

海外でUberが使えない地域に行くと、たぶん普段、日本で生活している人が想像もできないくらいに絶望的に「田舎だなあ」と感じてしまう。

今月の出張では合計四カ国を訪問したが、Uberが使えなかった場所はデンマークのオーフスだけだ。

今も毎晩のようにゴールデン街に海外からの観光客が押し寄せているが、彼らとてUberもLimeもない国で過ごすのはストレスだろう。

Limeも同じくらい世界の都市には配置されていて、やはり日本では道路交通法の問題で簡単には導入できなさそうだ。導入のための試みは既にKDDIなどが行っているが、どう考えても現行の道交法でLimeを導入しようとするとヘルメットやブレーキランプ、方向指示器がないと公道を走るのは難しい気がする。

でもこれではLimeの気軽さが台無しになってしまうので、やはり流行らないだろうし、そもそも外国から来た人は面食らうだろう。

その意味では日本はシェアリングエコノミー後進国のわけだが、最近、いかにも日本らしいものに遭遇した。それがCharge Spotである。

Charge Spotは、スマートフォン用のバッテリー充電器のシェアリングサービスである。
新宿だけでもかなりの数のスポットがあり、ゲームセンターや携帯電話ショップなどで気軽に借りることができる。

まず先にアプリをダウンロードしてクレジットカードを登録しておいて、最寄りのチャージステーションに行くと

こんな機械が現れる。
この機械のQRコードをアプリから読み取ると機械の横から充電済みのバッテリーが飛び出す仕組みになっている。

とりだしたバッテリーはライトニングケーブルとUSB-CとmicroUSBの三種類のコネクタに対応

筆者の周りではドラクエウォークが大流行していて、他にもポケモンGoなどの位置ゲーを遊ぶためには常にバッテリー不足に悩んでいる現状、こうしたシェアリングサービスは非常に相性が良い。

逆に打撃を受けるのはこれまで比較的高価であっても仕方なく買っていたコンビニエンスストアにおけるモバイルバッテリーだろう。

コンビニで買うとモバイルバッテリーはケーブル含めて数千円に登るのは普通だが、Charge Spotはわずか150円。48時間借りても300円でしかないという異次元の低価格を実現している。

充電を忘れた時や位置ゲーで遊んで電池がなくなったときに非常にありがたいサービスだ。

唯一、難点を挙げるとすれば、コンビニと違って24時間使えるスポットが少ないこと。ドコモショップやゲームセンターに設置されているため、深夜に電池が切れそう、というときにはコンビニでバッテリーを買うしかない。

また、電池が完全に切れてしまった場合も、Charge SpotでそもそもQRコードを読み込ませることができなくなるため、充電することができない。

このあたりでコンビニとも棲み分けができそうな気もするが、人口密度が高い都会ならではのサービスとして非常に印象深かった。

海外展開も既に始まっていて、やはり人口密度の高い香港やバンコクでもサービスをしているようだ。

また、バッテリースタンドの設置は無料なので、集客を目的として店舗に設置することが多いようだ。これも都会ならではでうまいやり方だと思った。

https://chargespot.jp/business.php

ある意味でUberで頻繁に移動するというのは、人口密度が比較的低い場所に向いている。たとえばサンフランシスコからシリコンバレーにかけたエリアなどは重宝するが、東京都心部のように、基本的には24時間いつでもタクシーが拾えるような場所ではUberのようなライドシェアリングが成長できる余地は少ない。

反対に、都心部では誰もが悩むバッテリー問題を見事なビジネスモデルで実現したところに、日本発のシェアリングエコノミーの可能性を強く感じた。

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清水 亮(しみず・りょう)

新潟県長岡市生まれ。1990年代よりプログラマーとしてゲーム業界、モバイル業界などで数社の立ち上げに関わる。現在も現役のプログラマーとして日夜AI開発に情熱を捧げている。

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