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コロナで世界のモバイルデータ通信が最大2割増加、エリクソン

2020.05.14

Updated by Naohisa Iwamoto on May 14, 2020, 06:25 am JST

「数カ月前まで、私の自宅とみなさんの自宅をつないでお話をすることなど考えられなかった。しかし今ではそれが“ニューノーマル”だ。エリクソンでは8万5000人がリモートワークを実施している。ニューノーマルの世界では強靭で信頼性の高いコミュニケーションネットワークが必要不可欠になる」

こう語るのはスゥエーデン・エリクソンの社長兼CEOであるボリエ・エクホルム氏。エリクソンが日本時間の5月11日に開催した「エリクソンUnBoxed Officeキックオフイベント」の基調講演でのことだ。このイベントは同社が5月から7月にかけて開催するオンラインイベント「UnBoxed Office」のオープニングに当たるものである。

エクホルム氏は、「新型コロナウイルスの影響は、私たちのサプライチェーンに対しては限定的だと考えている。国がロックダウンにあってもネットワークを稼働させるためエンジニアがリモートワークも含めて頑張っている。この数カ月で、通信業界にはビジネスエリアから住宅街へトラフィックがシフトするという大きな変化が起きたが、エリクソンはそれに対応できた」と語る。

そうしたトラフィックや通信インフラの利用における直近の状況について、エリクソンが毎年公開している「エリクソン・モビリティレポート」の調査担当者も変化を指摘する。「トラフィックが変動している。固定通信網だけでなく、モバイルにも変化がある。モバイルデータのトラフィックは最大で20%増加している。時間帯で見ると、従来は夕方にピークがあり、ネットワーク容量はそれによって決まる。ところが、家で携帯電話を利用するようになり日中にいくつもピークができるようになった。最適化して性能を維持する必要があるが、ネットワークはうまく対応できている」(同社 戦略マーケティング部長兼エリクソン・モビリティレポート編集長 パトリック・セルバル氏)。

実際のユーザーの意識はどうか。エリクソンコンシューマラボ所長 ヤスミート・シン・セティ氏は、「世界の11の市場で1万2000人から聞き取りをした。これは7億人の利用者の意見の代表と考えられる。回答の7割が日常生活に膨大な影響があったという中で、ICTは役割を果たしている。4分の3の保護者がICTデバイスで教育を継続できると考え、高齢者の6割はビデオ通話が隔離生活の助けになると回答している。新型コロナウイルスの感染蔓延という非常事態にあって、人々の結びつき、日常生活にICTが役立っている」と語る。

セルバル氏は、「こうした状況で、2020年末に5Gの契約数が全世界で1億に上るという予測を修正しないといけない。すでに中国では5Gの契約が増加する状況に転じた。他の地域では5Gデバイスを買いに行けないが、2020年末までには増加が見込まれる。2025年の5G契約者数は、2019年11月の予測では26億と見ていたが、現時点では28億へと上方修正した」と説明する。リモートワークの増加、遠隔医療への期待、仮想体験経済の拡大、さらに自動配達など自律型商取引へのシフトなど、パンデミックの影響が技術を進化させ、5Gを一層推進することになるとの見立てだ。

ボリエ氏は、「5Gには陰謀説があることも理解しているが、WHO(世界保健機構)も5Gがウイルスを広めないことを明言している。第四次産業革命のオープンプラットフォームであり、国家インフラでもある5Gの重要性はさらに高まる。災害管理や公共サービスの提供、デジタルデバイドの縮小のためのサポートも含め、政府は5Gのベネフィットを平等に享受できるようにしていく必要がある」と今後の5Gの役割を説いた。

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岩元 直久(いわもと・なおひさ)

日経BP社でネットワーク、モバイル、デジタル関連の各種メディアの記者・編集者を経て独立。WirelessWire News編集委員を務めるとともに、フリーランスライターとして雑誌や書籍、Webサイトに幅広く執筆している。