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コロナ時代の会社の魅力とは一体何か?

Attractions of work places in post Covit-19 era

2020.10.27

Updated by Mayumi Tanimoto on October 27, 2020, 11:09 am JST

前回の記事では、リモート勤務が可能になったのに、合理性の塊のようなイギリスでさえ、オフィスに戻ることを求める人が少なくないと解説しました。

つまり、少なからぬ人が、職場での人との交流や、所属、物理的な接触というものを求めているということです。

つまりこれは

・「職場」とは一体何なのか

・人は何によって満足するのか

・企業は魅力的な職場を作るためには何を提供するべきか

という非常に重要な問いを投げかけています。

働く人の満足度が高まることは、その職場での生産性の高さや創造性に直結しますから、企業価値を左右します。

つまり、コロナ騒動で明らかになりつつあるのは、従業員満足度を高め生産性を上げるためには、単に福利厚生を良くしたり、高い給料を払うだけでは不十分で、物理的空間としての「会社」の雰囲気作り、働く人が「物理的」「心理的」にコミュニティとしての「会社」に受け入れられている、所属していると感じる必要がある、ということです。

そう考えますと、実は昭和時代の日本の会社がやっていた会社の運動会とか飲み会というのは、決して無駄なことではなく、実は案外重要だったんじゃないのかなということです。

コミュニティの一員となる体験を共有し、心理的な一体感を得ることができましたから。これはオンラインでは代替できません。

そして実は、80年代以前の北米やイギリスの会社も、日本の昭和の会社のようなことをやっていたんです。個人主義の塊の様な働き方は、実は割と最近の現象で、50年くらい前は一般的ではありませんでした。

また、従業員を家族のように扱い、解雇のリスクを心配させないというのも、回り回って心理的満足度を高めるという点で非常に良いことでした。

会社がコミュニティなのですから、人々が求めているのは高い報酬や競争ではなく、安定性やコミュニティへの帰属意識なわけで、単なる報酬や生産性よりも心理的な満足度を高めた方が良いということですね。

コロナで判明したのは、合理性を追求するイギリスのような国や欧州の他の国でも、働く人々は実は案外ウェットで、お金だけを求めているのではない、ということです。80年代以前は、日本の昭和の会社的な感じもあったのですが、もしかしたらコロナ後の世界になって、古き良き会社の世界が復活するのかもしれません。

なにせ働く人々は解雇の恐怖にうんざりですし(既に解雇された人もいますが)、お金よりも健康や安定が重要だ、というように考え方を変えた人が大勢います。そして、オフィスでの他愛のない雑談や、うざいと思っていたクリスマスパーティーの有り難さが良く分かったのです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。