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リモート勤務で生産性が下がる?

Would productivity go down with remote work?

2020.10.30

Updated by Mayumi Tanimoto on October 30, 2020, 12:00 pm JST

欧州でも、リモート勤務、在宅勤務がいままで盛んではなかった業界や企業でも当たり前な状態になってしまいましたが、ロックダウンが始まってから半年以上になり、最近話題なのがリモート勤務の生産性です。

以前は、リモート勤務や在宅の方が生産性が高いという話が一般的で、その根拠は、従業員のライフスタイルや働き方に柔軟性や選択肢が増えて、心理的な満足度も上がるから、という話でした。

ところが、仕事の大半がオンラインになり、会議もバーチャル、オフィスに行く機会も殆どない、という状態が増えると、どうもそうではなく、生産性が下がっているという意見が目立ち始めています。

Aternityの調査によれば、アメリカの場合、本格的なロックダウン後に生産性は14%低下しています。

オフィスで仕事する場合、例えば一人で殆どの作業が完了する様な業務や、個人が成果物を出して終わり、プロセスの開始から終了までを一人でこなすというように完全に分業化している場合は、家で作業したほうがむしろ生産性が上がったりします。

例えば

  • ネットワーク構成図を書く
  • アプリを設計
  • 記事を書く
  • 一人でマーケティング戦略を作る
  • マーケティングのプロセスを管理する
  • サイトを構築する
  • トラフィックを分析する
  • データベースをメンテナンスする
  • 顧客に対応する
  • コールセンターでの回答

といった作業をすべて一人でこなす場合は、オフィスに居ない方が作業が進みやすいでしょう(ただし、家に子供や介護が必要な老人が居ない場合)

ところが、

  • 同僚と請求書の詳細を確認しながら膨大な量の入力と処理を手分けして行う
  • プロジェクトのスケジュールを10名で話し合って決める
  • 役員15名が参加して次期の営業計画を話し合う

といった他人とのコミュニケーションの頻度や濃度が高い仕事は一人で完結しませんし、オンラインで進めるのはかなり大変です。

画面共有も難しいですし、プロジェクトのスケジュールやプロセスマップを壁に大きく張り出して参加者でせっせと手を入れたりするのも難しい。

さらに、概念を話し合うような作業、はっきりと決まらないことに関して議論を詰めていく、といったことだと対面の方がスムーズです。

オンラインだと会議であっても、複数が同時に話すと聞こえないので、一人ひとりが発言しなければなりませんし、それにツッコミを入れるのもっけこう大変です。

チームメンバーで画面を一緒に見ながらシステムに手を入れていくのも難しいものです。不可能ではないものの効率が悪いのですね。その場にいればさっと終わります。これは、コンサルペーパーや複数で原稿に手を入れる場合でも感じます。オンライでも不可能ではないのですが効率が良くありません。

オフィスにいた時の様に、同僚や部下のデスクやキュービクルにちょっと立ち寄って思いついたアイディアを雑談混じりで話す、などということも難しい。新しい企画や解決が難しかった事案などが、こういう雑談から話が盛り上がってサクッと解決したりするものです。

やはり、オフィスで働くということは、対面でのインタラクションや表情、ジェスチャーといった非言語的なコミュニケーション、ちょっとした雑談、一緒にコーヒーを飲むこと、ランチに行くことなどということがすごく重要で、中長期での生産性や創造性にものすごく影響してくるわけです。

MITが4月と7月にアメリカで7万5千人に対して行った調査でもこの辺りは明確で、ロックダウンが始まってから、アメリカの働く人の約半数がリモート勤務になったものの、7月に入ると続々とオフィスに戻り始める人が増えています。特に、元々リモート勤務でなかった人はオフィスに戻り始めたようです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。