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なぜ、イギリスのデジタル・トランスフォーメーションが進んでいるのか?

Why UK's digital maturity is high

2021.01.25

Updated by Mayumi Tanimoto on January 25, 2021, 13:57 pm JST

前回は、Infosysの「Digital Radar 2019」という調査から、デジタル・トランスフォーメーションに対する企業の問題意識が変わってきていることを紹介しました。

翌年の「Infosys Digital Radar 2020: Breaking through the digital ceiling」では、各国のデジタル成熟度も調査しています。

例えば、イギリスのデジタル成熟度インデックスは60.7と高水準で、グローバル平均の57.4より高くなっています。アメリカは55.1、ドイツが54.8です。とはいえ、フランスの65.3、インドの77.9には及んでいません。

イギリスがデジタル成熟度が高い理由は、イギリス企業がデジタルの先進性を理解し、受け身ではなく価値を創造する機会だと捉えているからです。

調査では、デジタル・トランスフォーメーションへの取り組みの姿勢を「ウォッチャー」「エクスプローラー」「ビジョナリー」の三段階に分けていますが、イギリス企業の19%はビジョナリーであり、 ウォッチャーは12%に過ぎません。ウォッチャーのグローバル平均は18%で、これよりも大幅に少ないのです。69%がエクスプローラーであり、グローバル平均の61%よりも大幅に多くなっています(Infographic: Digital Transformation)。

イギリスでは、テレコム業界の76.9という成熟度の高さが全体の成熟度を牽引しており、保険が70.5、テクノロジーが70.2、製造業が67.3と続きます。

イギリスの場合は、デジタル化する場合に、単に業務の一部をデジタル化するのではなく、ビジネスモデル自体を大幅に変更してしまいます。場合によっては、その組織の目的も変更します。

税務と社会保険が好例です。関係組織の業務をデジタルなプロセスに置き換えた際に、社会保険料や納税の徴収、払い戻し、補助金の申請や支払いなどを統合してしまいました。

つまり、顧客である納税者からは、デジタルな窓口が一つで全体が一つのプロセスに見えるようになっています。中では複数のプロセスが走りますが、エントリポイントが一つなのです。

これがまさに、デジタル・トランスフォーメーションにおけるビジネスモデル自体の変革です。

業務の効率化はもちろん、顧客体験が高まることで、そこにビジネス機会を感じたユーザーが新たに起業をしたり、そのための補助金などを申請する人が増える、といった活動につながります。政府業務から新たな付加価値が創造されるわけです。

日本の場合、これらの業務が税務署、市役所、社会保険事務所などに分散しており、一つのデジタルなエントリポイントにアクセスすれば済む、という状況とはかなり違います。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。