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村上陽一郎氏

【村上陽一郎氏による私塾】専門家とは何か 第4回:専門家のためのリベラルアーツについて考える

2021.08.06

Updated by WirelessWire News編集部 on August 6, 2021, 15:37 pm JST

2021年8月21日(土)、東京大学名誉教授・村上陽一郎氏のオンライン私塾を開催します。連続講座の第4回目となる今回のテーマは「専門家のためのリベラルアーツ」。ゲストには東京大学教授の藤垣裕子氏をお迎えし、第1回で村上氏が問題提起した「専門化が進んだ時代に、隣の領域の問題に口出しができるか」について議論を交わしていきます。

トークの後には、両氏に聞いてみたいことを直接ご質問いただけます。

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ゲスト・藤垣裕子氏より:隣の領域との「壁」を越えて思考することとは

【村上陽一郎氏による私塾】専門家とは何かの第1回(2021年4月5日)のイントロダクションで村上氏は、「専門化が進んだ時代に、隣の領域の問題に口出しができるか」という興味深い問いを提起している。しかし、隣の領域に口出しできる習慣がないと困る事態も生じるのである。

2011年の東日本大震災後、海外の研究者たちから「日本は長年科学技術立国をうたってきたにもかかわらず、何故あのような原発事故を起こしてしまったのか」と質問攻めにあった。そして、原子力研究も地震研究も津波研究もそれぞれの分野では世界トップクラスの研究をしていたのに、何故それらを連携して事故を防げなかったのか、ということが学術界でも真剣に議論された。そしてその理由は、分野と分野の間の連携ができていなかったこと、多様な知の結集ができていなかったことであり、それこそ隣の領域に口出しできる習慣がなかったことだという点が示唆された。多様な知の結集のなかには、学術領域と政策立案領域との間の連携もふくまれる。

隣の領域との「壁」を越えて思考し、協力する素地は、「専門家のためのリベラルアーツ」といってもよいだろう。そこでは明らかに専門家としての「良識」が問われるのである。話者の所属する大学では、専門家のためのリベラルアーツの教育のために、2015年から後期教養教育科目というものを設計した。専門を学び始めた後に意味をもつ教養教育である。そこでは、1)自分のやっている学問が社会でどういう意味をもつか、2)自分のやっている学問をまったく専門の異なるひとにどう伝えるか、3)具体的な問題に対処するときに他の分野のひととどのように協力できるか、を考える。

村上氏が指摘するように「学問において、1つの領域に沈潜することは、往々にして、他の領域に心を開く余裕を失わせる」。しかし、その領域の限界を越えて他分野と協力しなければ、現代社会の問題を解決したり、一般のひとの「知りたい」に答えることはできないのである。

イベント詳細

科学哲学者・村上陽一郎氏による私塾「専門家とは何か」の第4回です。ZOOMミーティングを利用し、参加者とともに専門家や専門知の役割を考えていきます。

開催スケジュール等

日 程:2021年8月21日(土)15:00~(約2時間のトーク&ディスカッションの後、交流会を開催)
会 場:Zoomを利用したオンラインイベントです。お申し込みはこちら
参加料:¥3000(税込)※チケットの購入期限は当日8月21日の12:00までとさせていただきます。
主 催:WirelessWireNews編集部

スピーカープロフィール

村上 陽一郎(むらかみ・よういちろう)村上 陽一郎(むらかみ・よういちろう)
上智大学理工学部、東京大学教養学部、同学先端科学技術研究センター、国際基督教大学(ICU)、東京理科大学、ウィーン工科大学などを経て、東洋英和女学院大学学長で現役を退く。東大、ICU名誉教授。専攻は科学史・科学哲学・科学社会学。幼少より能楽の訓練を受ける一方、チェロのアマチュア演奏家として活動を続ける。

藤垣裕子(ふじがき・ゆうこ)藤垣 裕子(ふじがき・ゆうこ)
東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。東京大学助手、科学技術庁科学技術政策研究所、東京大学准教授をへて、2010年より同教授。専門は科学技術社会論。著書に『専門知と公共性』、『科学者の社会的責任』、共著に『大人になるためのリベラルアーツ』、編著に『科学技術社会論の挑戦』など。

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