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放課後クラブをコンピューティング学習に活用するべし

Use afterschool clubs for IT education

2022.03.21

Updated by Mayumi Tanimoto on March 21, 2022, 07:00 am JST

前回は、イギリスや北米のコンピューティング教育について述べましたが、日本では学校でのIT教育について、普段の授業内でやることばかりが議論されていて、課外活動についての話があまりないことが非常に残念です。

イギリスや北米の学校にも、日本の学童保育に相当するようなものがあります。詳しくは私が2020年に出版した「世界のニュースを日本人は何も知らない2」「みにろま君とサバイバル」さらに2021年に出版した「世界のニュースを日本人は何も知らない3」で解説しています。

イギリスの場合は、親が共働きな家が多いこともあり、学童保育を活用しています。この学童保育を学校が運営していることも多いので、子供は移動する必要がありません。通常は夕方6時までの預かりです。ただし、単なる子供の預かりではなく、クラブ活動や習い事になっていることも多いのです。

その中で最近人気なのが、プログラミングやコンピュータ教育を行うもので、学校のクラブの一部として無償で提供しているところもありますし、外部から専門家が来て授業を行うところもあります。その場合は、子供一人当たり1回1000円位で授業受けることができます。

非常に面白いのが、こういった授業を行う外部の団体というのは、学校の放課後教育にフォーカスして様々な学校を回って事業を展開しており、それ自体がビジネスとして成立していることです。

放課後クラブだけではなく、学校のITの授業を外注として担当することもあり、普段の教員がコンピュータのことを教えるのではなく、実務経験のある人や子供向けのコンピュータ教育を専門にやっている業者が教えているのです。しかも、彼らの多くはコンピューターサイエンスや理系の学位を持っています。

ただし、公立の学校だとそんなに予算がありませんから、こういう業者は政府からの補助金を受けて来てもらったりします。

業者は専門のビジネスとしてやっていますから、その専門性は高く、小学校の低学年で3Dプリンターでものを作るところまで教えるところもあるほどです。私立の学校だと、生徒1人のコンピュータがあるだけではなく、3Dプリンタを準備してある学校もあります。

つまり、造形のデザインからソフトウエアの使い方、簡単なプログラミングまで教えてしまうわけです。それが小学校低学年の子供向けの内容なのです。しかも、子供に特化したトレーニングのやり方に長けています。教え方が非常に上手いのです。

日本では、学校のITの授業を専門ではない先生が教えることもあるわけですが、イギリスのように政府がこういった専門業者に補助金を出して、専門家が外注として授業の運営を受託するといった方法も、質の高い授業の提供につながるのではないでしょうか。

ポイントは、授業の外注先が大規模な人材派遣外車やIT企業ではなく、あくまで個人事業主や社員数名の小さな企業である点です。

イギリスの場合は、こういった企業は夫婦でやっているとか、自分1人だけで営業している小さな会社や個人事業主の人が圧倒的で、政府が補助金を出すことで雇用を作り出すことにもなっています。大手企業が中抜きをするわけではなく、費用は経営者に直接行きます。

元々、IT企業に勤めていた人や、子供の教育に興味がある、自分のライフスタイルを変えたい、といった理由で取り組む場合もありますし、子供がいる人の場合は昼間は家で子供を見ていることができるので、夕方だけ教えるということも可能になります。

実際、私の知人でこの様なトレーニングスクールをやっている人は、小さな子どもがいることが珍しくありません。

日本政府は、何でも大手の会社に外注するのではなく、こういった小さなビジネスをやっている人々を支援する仕組みも考えてみるべきではないでしょうか。学校も保護者も生徒も、質の高いIT教育を実務家から低価格で受けられ、トレーング提供側はライフスタイルを選べる上に生活が成り立つ。産業界は将来のITワーカーを確保できる。全方位に良しというWin-Winの関係です。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。