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ウクライナ情勢と生き残り戦略としてのDX

Ukraine and DX in Japan

2022.04.12

Updated by Mayumi Tanimoto on April 12, 2022, 17:07 pm JST

イギリスだけではなく欧州では、テレビのニュースや新聞がウクライナの状況一色ですが、ウクライナ情勢は日本におけるDXのあり方についても、大変に大きな示唆があります。

日本では、DXが企業や組織内の単なる生産性の話になっているわけですが、実はDXは、企業の生産性や災害や有事対応を通り越し、もはや安全保障の課題となっているのです。

仮に日本が攻撃を受け有事となった場合、 行政事務が今のような紙ベースの状態では、市民生活に関わる様々な事務が実行不可能になります。

オフィスに行けなくなるわけですし、 砲撃や火災で書類が消失したり、オフィスが消えるわけですから。有事となってオフィスが物理的に消失してしまった場合、 事業継続は不可能になります。

もちろん、BCP対策を準備している企業が多いのではありますが、これまでの想定はあくまで「災害」であって、ウクライナのように町一つが完全に廃墟と化してしまうことや、複数の地域でインフラが徹底的に破壊されて事業継続が不可能になる、といったことは想定していません。

有事の場合は、複数の主要都市が攻撃される可能性が高いわけですから、その場合でも何とか事業を継続できる体制を整えておかなければなりません。

それには、今のレベルのDXでは全く不十分で、物理的に物を動かしたり人に会う場合などを除いて、ほぼ全ての事務作業や社会のコミュニケーションを仮想空間でも実行できるように業務を改革しておかなければならないのです。

我々はもうDXを単なる流行りとして捉えるのではなく、生き残るための戦略として迅速に取り組んでいかなければなりません。

「本当のDX」を考えるウェブメディア『Modern Times』創刊「本当のDX」を考えるウェブメディア『Modern Times

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。