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属人性と有事対応、プロセスの明確化とマニュアル化

Dependance on specific person and emergency

2022.05.09

Updated by Mayumi Tanimoto on May 9, 2022, 17:02 pm JST

日本の組織の多くは、非常に属人性の高い仕事のやり方をしているわけですが、 有事が起きた場合に働けなくなる人が出てくると、 これも業務遂行が不可能になる原因となります。

北米や欧州北部のように、常日頃から業務のプロセスをきちっと明文化、透明化し、 作業をシステム上で遂行可能なようにしておけば、代替要員でも業務の運行が可能になります。また、仮想システム上で業務を処理できるようにしておけば、従業員個人のデバイスで業務が処理できるわけですから、 オフィスがなくなってしまってもなんとか組織を存続させることができます。

こういったことは、コロナ禍で必要性を痛感させられた組織が多いわけですが、行政を中心に日本の仕事のやり方はまだまだ紙ベースでありますし、属人性も高いままです。また、コロナが収まってきたのもあって、再びオフィスに物理的に出勤して仕事をしている組織も多くあります。

北米や欧州北部のプロセス化を中心とした業務の遂行のし方というのは、もちろん生産性を高めるためでもあるのですが、 基本的には有事対応を想定したものになっています。何故かというと、プロセス化の手法の少なからずが軍発祥であるからです。

これは特にアメリカがそうで、プロセスを細分化し、 訓練しなければならない部分を最小化してマニュアル化を徹底的に行い、 未経験者でも高度なツールを使いこなして仕事ができるようにしてあります。

プロセスの透明化やマニュアル作りというのは、大変な手間がかかるものでありますし、常にアップデートしていかなければなりません。プロセスの有効性も検証が必要ですから、品質管理担当者が必要になります。マニュアルもプロセスの表記方法も、組織全体で一定の水準にしなければ情報が早く伝わりません。それらを作成し品質を管理するのも、プロの仕事になります。

実は、私の業務の一つはこの分野なのですが、日本では一部の製造業を除いてはこのプロセス化とマニュアル化があまり進んでおりません。

北米や欧州北部の場合は、事務職やサービス業でもこれらがかなり進んでいます。日本ではなぜか嫌がる組織が多く、属人性を高めて個人の判断に沿って仕事をやらせようとします。

日本人は教育レベルが高いためそれでもなんとか回っていたわけですが、ここにきて仮に日本が有事に直面した場合、従来のやり方では限界があることが目に見えてきました。ウクライナの危機を目にして、これまでの働き方ではよろしくないと考えるようになった方が少なくないはずです。

 

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。