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嗅覚IoTセンサーと機械学習でニオイの世界を再構成する

嗅覚IoTセンサーと機械学習でニオイの世界を再構成する

Developing New Sensors & Exploring the Mechanism of Olfaction

2022.05.09

Updated by Schrodinger on May 9, 2022, 13:41 pm JST

私たちの日常生活や人生そのものは、様々なニオイ(匂い・臭い)と共に成立しているといっても過言ではありません。例えば、食事の時に感じる「美味しさ」の大半は匂いや香りの演出によるものですし、ある人に好印象を感じた原因がその人のニオイ(体臭)だったりする経験をお持ちの方も多いはずです。

とはいえ、これらニオイに関するエピソードは「文化」や「感覚」の側面から語られることが多く、その科学的分析と応用が遅々として進まなかったのが実情です。

ここに大きな風穴を開けつつあるのが、国立研究開発法人 物質・材料研究機構(NIMS)センサ・アクチュエータ研究開発センター 嗅覚センサグループに所属する吉川元起さんらのチームが開発した嗅覚センサMSS(Membrane-type Surface stress Sensor)です。

この新開発のセンサで取得したビッグデータを機械学習と組み合わせることで、例えばお酒のニオイからアルコール度数の定量推定を行ったり、「擬原臭」という新たな概念によるニオイの「見える化(デジタル化)」が可能になったりします。さらに、農畜産業への応用や医療における呼気・生体ガスの診断への応用なども想定されています。最終的には、クラウド/ビッグデータ解析と連携した「嗅覚IoTセンサ」として新しい産業・ビジネスモデルを創出する可能性がありそうです。温度や湿度などの外乱要因の影響管理や、各要素技術の最適化、より多くのサンプルによる統計的実証、などの課題がまだまだ残されてはいますが、なんだか「やってくれそう」な気配が濃厚です。

今週のシュレディンガーの水曜日は、このニオイプロジェクトのリーダー・吉川元起氏に、私たちが知らない「ニオイの世界」の探索術を学ぶことにしましょう。スイス・バーゼル大学滞在中のハインリッヒ・ローラー博士(1986年にノーベル物理学賞を受賞)とのエピソードなどもお聞きできるかもしれません。(竹田)

募集要項
5月11日(水曜日)19:30開始
嗅覚IoTセンサーと機械学習でニオイの世界を再構成する

吉川 元起(よしかわ・げんき)吉川 元起(よしかわ・げんき)
物質・材料研究機構(NIMS)機能性材料研究拠点 電気・電子機能分野 嗅覚センサグループ グループリーダー

1999年東京大学理学部化学科卒、2004年同大学院理学系研究科化学専攻博士課程修了、研究拠点形成特任研究員(COE)。2005年東北大学金属材料研究所助教、2007年University of Basel (スイス) 客員研究員、2008年物質・材料研究機構(NIMS)リサーチアソシエイト、その後、同機構ICYS-MANA研究員、独立研究者を経て、2016年より現職。2016年University of Waterloo(カナダ)客員教授、2022年筑波大学大学院理工情報生命学術院教授(併任)。

・日程:2022年5月11日(水曜)19:30から45分間の講義(その後、参加自由の雑談になります)
・Zoomを利用したオンラインイベントです。申し込みいただいた方にURLをお送りします。
・参加費:無料
・お申し込み:こちらのPeatixのページからお申し込みください。


「シュレディンガーの水曜日」は、毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテータが運営しています。

原正彦(メインキャスター、MC):東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授原正彦(メインコメンテータ、MC):東京工業大学・物質理工学院・応用化学系 教授
1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。

今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授
武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。

増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授
東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。

竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人
日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997〜2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来 自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。

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