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福岡県 糸島市 街並み イメージ

SVI、福岡県糸島市に九州大学関係者向けのローカル5Gを整備

2022.06.02

Updated by WirelessWire News編集部 on June 2, 2022, 07:00 am JST

SVI推進協議会(SVI)は2022年5月26日、福岡県糸島市にローカル5Gの利用環境を整備したことを発表した。実証エリアとしては、九州大学伊都キャンパスの西側に隣接する糸島市所有の土地(志摩馬場の旧清掃センター跡地)を活用する。現在、国内でローカル5Gの免許を申請しているのは、通信系、ケーブルテレビ系、大規模な工場を持つところなどが中心で、今回SVIが設置したような大学関係者や企業が実証実験できる施設は珍しい。

SVIは、糸島市と九州大学や民間企業、金融機関が一体となって2021年10月1日に設立した一般社団法人である。大学の知的資源を実用化・事業化につなげる企業および研究所が立地する研究交流拠点「糸島市サイエンス・ヴィレッジ」をつくり、研究者やその家族、学生、地域住民などが交流できる場所として発展させることを目指して設立された。

今回のローカル5Gは、九州大学の知的資源活用など新技術を幅広く実用化・事業化につなげて、研究・産業集積や交流創出を実現するためにSVIが進めている個別プロジェクトの一つである。SVIが2022年3月に日清紡ホールディングと締結した共同事業協定に基づいて機器を設置した。

日清紡は、5G電波が敷地内できちんと届いているか、他の土地にはみ出していないかなどの実証実験を2年間かけて実施する。具体的には、日清紡の系列企業である日本無線が開発したアンテナ「SFA」(Simulation-based flexible antenna)を使い、設計時にシミュレーションした複雑な形状のエリアに対して、設計通りの効率的な電波利用が実際に可能となるかを検証する。

今後は、九州大学と連携し学内の各研究者に情報を提供して、民間企業を含めて活用を希望する研究者を募っていく。SVIと日本無線がサポートして、複数の実証実験などが展開できる仕組みを作る。仕組みが確立できるまでは、先行して九州大学の学生団体「QSIP(キューシップ)」が、環境計測装置の測定精度の確認や評価、菜園でのリアルタイム環境情報の可視化などの実証実験を行う予定。

ローカル5Gは、企業や自治体が所有する建物や敷地内で独自に構築する無線ネットワークである。「超高速」「多数同時接続」「超低遅延」という5G通信の特徴を生かして、工場やプラント、工事現場における機械の制御や、高精細映像を利用した街の見守り、施設の管理などへの利用が期待されている。キャリア5Gのネットワークは多くの人が利用するため、災害発生時や大規模イベントの際にネットワークが混雑し、輻輳(ふくそう)が発生し接続しづらくなることがある。ローカル5Gは独立したネットワークで外部環境の影響を受けにくい。また、外部のネットワークと完全に切り離して情報漏洩対策に強いセキュアな環境を実現したいというニーズにも対応できる。

[リリース]
糸島サイエンス・ヴィレッジにおけるローカル5Gの環境整備が完了しました

 

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