アルカテル・ルーセントの統合により拡充されたノキアのIoT戦略とポートフォリオ

2016.05.26

Updated by Asako Itagaki on 5月 26, 2016, 14:08 pm JST

Wireless Japan 2016 第1日の基調講演で、ノキアは「ノキアのIoT戦略」と題し、ノキアの日本におけるIP/SDN製品事業部の責任者である鹿志村康夫氏が、アルカテル・ルーセントとの経営統合により拡充されたポートフォリオを紹介した。

フォーカスエリアと4つのレイヤー

ノキアはIoTマーケットにおいて、オートモーティブ(自動車)、ユーティリティ(スマートメーター含むインフラ)、セキュリティ、シティ(交通システムやスマートシティ)、ヘルスケア&ホーム(個人向けサービス、医療向けサービス)の5つのフォーカスエリアを提供している。

これらに対し、ノキアのポートフォリオでは、4つのレイヤーを定義しており、それぞれについてEnd to Endのソリューションを持っている。

アプリとデバイスにはさまざまなタイプのものがあり、自社ソリューションだけでは拡充が望めない。ノキアはデバイスベンダー、アプリケーションベンダー、通信事業者などが加入するアライアンスプログラム「ng connect program」を立ち上げ、IoTにかかわるサービスを立ち上げたい時にPoCから実証実験まで行えるエコシステムをくみあげている。技術的な相互接続性検証から技術ソリューションを構築したあとのトライアル、効果測定までを一貫して行えるのが特徴となっている。

250以上の組織が参加してさまざまな取組みが行われている。ng connectでの取り組みの例として、鹿志村氏はニュージーランドの通信事業者によるフィールドサービスのIoT化や通信事業者とバス運行事業者による運行情報提供サービス、台湾における遠隔医療への取り組みなどの事例を紹介した。

プラットフォームレイヤーでは、IoTプラットフォーム「IMPACT」を提供している。IMPACT」は「コネクティビティ管理」「デバイス管理」「データ収集とプロセッシング」「アプリケーション」の4つのレイヤーとそれら全てに対するセキュリティを提供している。デバイス管理はアルカテル・ルーセントで提供していたデバイス管理ソリューション「Motive」が元になっている。

共通プラットフォーム上でさまざまなアプリやソリューションを展開することで、構築コストとオペレーションコストを下げ、さまざまなベストプラクティスを通じてベストソリューションが得られる。

IMPACTを利用したソリューションは既にさまざまな通信事業者で導入実績があり、トータル1億台以上のデバイスを管理しているユーザーも存在する。

ネットワークについては5Gに向けての取り組みを進めているが、他にもNB IoT、LoRa、eMTC、EC-GSMなどさまざまな技術について、標準化推進および製品サポートへの反映に取り組んでいる。来年早々にはこれらが実際の製品にもサポートされる見込みであるとした。

IoT/5Gにおけるネットワーク構成の変化

E2Eで見た時、IoTがネットワークにもたらす影響として、鹿志村氏は「機能分離と再構成」「ネットワークスライシング」の2つを挙げた。

現状、モバイルコアの世界では厳格なサービスファンクション規定が行われているが、今後は定義されている機能をより効率的に配置するようになる。具体的な課題として鹿志村氏は「コントロールプレーンとユーザープレーンの分離」「それぞれを処理するファンクションからのステート排除」を挙げ、ウェブスケールのアプリと同様の感覚でモバイルサービスを提供するための「ステートレス機能」の提供が鍵になると述べた。

ネットワークスライシングについては、同一ネットワーク上で提供されるさまざまなサービスに対してその独立性を担保するために、ネットワークを分離(テナンティング)して提供するために必要となる。

この考え方で仮想EPCをデザインしなおすことで、コントロールプレーンとデータプレーンを分離して再配置することで柔軟に分散アーキテクチャがとれるようになる。また、ユーザーのセッション情報はシェアードデータレイヤーに持たせ、処理に特化したプロセッシングレイヤーから参照することで、仮想マシンの使用効率を高めることができる。新しいデザインのEPCコアはすでにデモンストレーションバージョンのソフトウェアを提供できる段階まできているとのことだ。

こうしたデザインを採用することで、サービスの機能要件に合わせてモバイルコアファンクションを適切に機能配置できる。

柔軟な機能配置はNFVによって実現されるが、ネットワーク全体をインテリジェントにコントロールするSDNの技術の重要性が増す。これにより、ネットワークはよりダイナミックに進化する。

【イベントのご案内】
セミナー「エンタープライズネットワークを変えるSD-WANの可能性」
本記事でプレゼンテーションを行ったノキアの鹿志村 康生氏が、エンタープライズネットワークが抱える課題、SDN技術とSD-WANの効果、グローバル市場でのSD-WANの導入事例について解説します。

日時:2016年5月30日(月) 16:00-17:30
会場:ノキア 大崎オフィス(東京都品川区大崎2-1-1 ThinkPark Tower 6F)
対象:自社でWANネットワークを活用されている企業における情報システムに関わる意思決定者もしくは構築運用にたずさわる方
参加費:無料
詳細・お申し込みはこちらから

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板垣 朝子(いたがき・あさこ)

WirelessWire News編集委員。独立系SIerにてシステムコンサルティングに従事した後、1995年から情報通信分野を中心にフリーで執筆活動を行う。2010年4月から2017年9月までWirelessWire News編集長。「人と組織と社会の関係を創造的に破壊し、再構築する」ヒト・モノ・コトをつなぐために、自身のメディアOrgannova (https://organnova.jp)を立ち上げる。