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早稲田大学 講堂 銅像 イメージ

早稲田大など、6Gで利用できる双方向高速リアルタイム無線伝送に成功

2022.07.08

Updated by WirelessWire News編集部 on July 8, 2022, 17:20 pm JST

早稲田大学や千葉工業大学など日本の5研究機関と欧州の7研究機関は2022年6月29日、世界初の300GHz/テラヘルツ帯を使った双方向テラヘルツ伝送に成功したと発表した。6G時代のネットワークで基地間の接続に、300GHz/テラヘルツ帯による高速無線通信を使うことの実現可能性を示したことになる。日本の5研究機関は、早稲田大学、千葉工業大学、岐阜大学、日本電気(NEC)、高速近接無線技術研究組合。欧州の7研究機関は、ブラウンシュヴァイク工科大学、フラウンホーファー応用固体物理研究所、シュツットガルト大学、ドイツテレコム、リール大学、Siklu Communications、VIVID Componentsである。

移動通信システムの基地局間を接続するためのネットワークには、従来は光ファイバーを使うのが一般的だった。大量の基地局を必要とする6Gでは、基地局を結ぶ通信の一部を高速テラヘルツ無線とすることが期待されている。今回の実験は、ドイツ・ブラウンシュヴァイク工科大学の構内で、伝送距離160メートルの300GHz帯双方向リアルタイム伝送を実施した。この帯域で双方向通信で実際のネットワークに接続可能な無線伝送装置の動作実証は世界初という。

開発した無線伝送装置は、8.64GHz×2の帯域幅を使って20Gbps×2(双方向)の伝送速度を実現する。帯域幅を拡張すれば、さらに高速化することも可能だ。また、IEEE 802.15.3の通信規格に準拠した信号形式での伝送実験にも成功している。

今回の研究は、欧州委員会のHorizon2020および国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)による委託研究「大容量アプリケーション向けテラヘルツエンドトゥーエンド無線システムの開発(ThoR:TeraHertz end-to-end wireless systems supporting ultra high data Rate applications)」の一環として実施したもの。ThoRプロジェクトの研究期間は2018年7月1日から2022年6月30日まで。

早稲田大学、千葉工業大学、岐阜大学は、ThoRプロジェクトの成果をベースに日欧連携をさらに発展させ、2021年度からテラヘルツ通信を用いたネットワーク実現を目指したNICTの委託研究「欧州との連携による300GHzテラヘルツネットワークの研究開発」を実施している。これにより、長期に渡って屋外で動作させることが可能な小型のテラヘルツ無線伝送装置の開発を目指す。さらに、複数のテラヘルツ無線伝送装置を連携させ、悪天候時にもおいても安定的な高速データ伝送を可能とする技術を開発していく。

[リリース]
世界初の双方向300GHzテラヘルツ伝送に成功

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