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当別ダムはオラフ先生の大好きなサイクリングコース

私はなぜマイクロプラスチックの研究のために日本に来たのか

Reason to Research on Microplastics in Japan

2022.07.08

Updated by Schrodinger on July 8, 2022, 17:36 pm JST

自然界に存在する高分子を天然高分子といいます。タンパク質やセルロース、あるいは天然ゴムなどがそうですね。なにより私たち人間、あるいは植物自体が天然高分子の塊です。これに対して人為的に作られた高分子が合成高分子です。ポリエチレン、ナイロン、ポリエステル、プラスチック等が代表格でしょうか。

合成高分子は、軽くて丈夫で使いやすく衛生的です。豊かな文明社会を作るために合成高分子が果たした役割は計り知れません。しかし、この合成高分子の最大の弱点は、リサイクルできない(=微生物が分解できない、あるいは分解しにくい)、という点にあります。特に「海洋プラスチック」あるいは「マイクロプラスチック」が環境に悪影響を与えていることが報道される機会が増えているのはご存知の通りです。

「まずはリサイクルの前に減らすことだ」という事情がよく分かっていない前環境大臣の妄言からレジ袋が有料化され、2022年4月にはプラスチック資源循環促進法が施行されました。日本という国が怖いのは、制度設計の破綻を精神論で補おうとすることで、電力が足りなくなると「みんなで節電しよう!」と(政府が)呼びかけたりするのがまさにそれです(実際、何とかなるので怖いわけです)。

「プラスチックを減らせ」という運動が経済にどのようなインパクトを与えるのかを現在の政府がきちんと考慮しているかどうかもかなり怪しい。豊かな文明社会をキープし経済成長も狙いつつ環境と折り合いをつけるとしたら、プラスチックは減らすのではなくリサイクルさせることが重要になるはずです。

そこに登場するのが今回話題提供いただく、ドイツからの助っ人にして公立大学法人公立千歳科学技術大学の教授、オラフ・カートハウス(Olaf Karthaus)氏です。カートハウス研究室では、天然高分子を含む機能性ハイブリッド材料、プラスチック材料の劣化に関する研究、そして河川にあるマイクロプラスチックの調査・研究を実施しています。ただし、カートハウス氏の究極的な目標は「100%のリサイクル」です。当然、それが非現実的であることはカートハウス氏自身も心得てはいるわけですが、例えば循環型ビニルポリマー(Sustainable Vinyl Polymer)を遺伝子操作しバイオ合成することができれば、限りなく100%のリサイクルに近付きます。ただ現実のポリマーは、そもそも分別が困難で添加物が混入しており、多層コンポジット材料として存在していることが問題解決を困難にしています。

さて、カートハウス氏に秘策はあるのか? 13日の「シュレディンガーの水曜日」でみんなで確認しましょう。話題提供は日本語で行われます。英語が若干混入する可能性はありますがドイツ語は出現しない予定です。(竹田)

募集要項
7月13日(水曜日)19:30開始
私はなぜマイクロプラスチックの研究のために日本に来たのか

オラフ・カートハウス(Olaf Karthaus)公立大学法人公立千歳科学技術大学教授(理学博士)オラフ・カートハウス(Olaf Karthaus)公立大学法人公立千歳科学技術大学教授(理学博士)

Education
1988: Diploma Degree, Faculty of Chemistry of the Johannes Gutenberg
University, Mainz, Germany
1992: Doctor Degree (Dr.rer.nat.), Faculty of Chemistry and Pharmacy of the
Johannes Gutenberg University, Mainz, Germany

Occupation and Research
1992/5 - 1993/12: JSPS and Alexander-von-Humboldt fellowship at the Faculty
of Engineering of Tohoku University, Sendai, Japan
1994/1 - 2000/3: Research Associate at the Research Institute for
Electronic Science, Hokkaido University, Sapporo, Japan
2000/4 - 2006/3: Associate Professor, Chitose Institute of Science and
Technology
since 2006/4: Professor, Chitose Institute of Science and Technology
2010/4-2020/3: Head of the Department of Bio- and Material
Photonics/Applied Chemistry and Bioscience
2000 - 2003: Researcher of the " Self-Organization and Function" Project
within PRESTO, JST

・日程:2022年7月13日(水曜)19:30から45分間が講義、その後参加自由の雑談になります。
・Zoomを利用したオンラインイベントです。申し込みいただいた方にURLをお送りします。
・参加費:無料
・お申し込み:こちらのPeatixのページからお申し込みください。


「シュレディンガーの水曜日」は、毎週水曜日19時半に開講するサイエンスカフェです。毎週、国内最高レベルの研究者に最先端の知見をご披露いただきます。下記の4人のレギュラーコメンテータが運営しています。

原正彦(メインキャスター、MC):東京工業大学・物質理工学院応用科学系 教授原正彦(メインコメンテータ、MC):東京工業大学・物質理工学院・応用化学系 教授
1980年東京工業大学・有機材料工学科卒業、1983年修士修了、1988年工学博士。1981年から82年まで英国・マンチェスター大学・物理学科に留学。1985年4月から理化学研究所の高分子化学研究室・研究員。分子素子、エキゾチックナノ材料、局所時空間機能、創発機能(後に揺律機能)などの研究チームを主管、さらに理研-HYU連携研究センター長(韓国ソウル)、連携研究部門長を歴任。現在は東京工業大学教授、地球生命研究所(ELSI)化学進化ラボユニット兼務、理研客員研究員、国連大学客員教授を務める。

今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授今泉洋(レギュラーコメンテータ):武蔵野美術大学・名誉教授
武蔵野美術大学建築学科卒業後、建築の道を歩まず、雑誌や放送などのメディアビジネスに携わり、'80年代に米国でパーソナルコンピュータとネットワークの黎明期を体験。帰国後、出版社でネットワークサービスの運営などをてがけ、'99年に武蔵野美術大学デザイン情報学科創設とともに教授として着任。現在も新たな表現や創造的コラボレーションを可能にする学習の「場」実現に向け活動中。

増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授増井俊之(レギュラーコメンテータ):慶應義塾大学環境情報学部教授
東京大学大学院を修了後、富士通、シャープ、ソニーコンピュータサイエンス研究所、産業技術総合研究所、米Appleにて研究職を歴任。2009年より現職。『POBox』や、簡単にスクリーンショットをアップできる『Gyazo』の開発者としても知られる、日本のユーザインターフェース研究の第一人者だがIT業界ではむしろ「気さくな発明おじさん」として有名。近著に『スマホに満足してますか?(ユーザインタフェースの心理学)(光文社新書)など。

竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人竹田茂(司会進行およびMC):スタイル株式会社代表取締役/WirelessWireNews発行人
日経BP社でのインターネット事業開発の経験を経て、2004年にスタイル株式会社を設立。2010年にWirelessWireNewsを創刊。早稲田大学大学院国際情報通信研究科非常勤講師(1997〜2003年)、独立行政法人情報処理推進機構・AI社会実装推進委員(2017年)、編著に『ネットコミュニティビジネス入門』(日経BP社)、『モビリティと人の未来 自動運転は人を幸せにするか』(平凡社)、近著に『会社をつくれば自由になれる』(インプレス/ミシマ社)、など。

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オンラインイベント「シュレディンガーの水曜日」の運営事務局です。東京工業大学・物質理工学院・原正彦研究室の協力の下、WirelessWireNewsが主催するオンライン・サイエンスカフェです。常識を超えた不思議な現象に溢れた物質科学(material science)を中心に、日本の研究開発力の凄まじさと面白さを知っていただくのが目的です。

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