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イギリスで注目される AI 企業

UK's notable AI companies

2023.05.22

Updated by Mayumi Tanimoto on May 22, 2023, 12:00 pm JST

AIというとアメリカの会社が注目を浴びがちですが、イギリスをはじめとする欧州も、実は情報通信産業は強く、意外と面白いAIの会社が存在しています。

ただしこれは、イギリスや欧州のお国柄を反映したものなのかもしれませんが、アメリカに比べると産業寄りと言いますか、お堅めな感じの業界でAIを活用するというものが目立ちます。

やはりアメリカは、一からまた新しいことを始めて挑戦するという雰囲気が強いのに対して、イギリスや欧州というのは、既存の社会体制や仕組みというものを温存しつつ、新しいことを徐々に行っていくという保守的な考え方が強いからだと思われます。

OptiSol Business Solutionsは、イギリスを代表するAI企業の一つですが、もともと製造業やヘルスセクター、FinTechにサービスを提供していた企業です。そのような顧客ベースや製品の下地があるので、従来の製品やサービスを強化する形でAIの導入を進めています。

例えば、

AIを活用した医療機関での診断情報の分析
AIによる職場の健康リスクの評価
AIを使用して職場の安全健康管理の自動化
AIを使用した医療事故や感染の予防
AIにより人間の行動を認識し安全性を確保する
顔認識の自動化

このような同社のサービスのラインナップは非常に参考になりますね。

AIで人の仕事を根こそぎなくしてしまうというのではなく、それまで手動で行っていたものをなるべく自動化して、もっと付加価値が高い仕事を働いてる人にやってもらうようにするということです。

例えば、「AIによる職場の健康リスクの評価」であれば、それまで対面で面談を行っていたものや紙の調査票に記入してもらっていたようなものを、携帯端末やWebで入力してもらって自動診断するという事が考えられます。

従業員の労働時間や作業内容を自動的に分析して 健康リスクを評価し、働き過ぎている場合や生産性が下がっている場合は、休暇の取得や休息を事前に通知するといった方法も考えられますね。

つまり、人力で行っていたことをなるべく自動化してリスクを回避するということです。こういった自動化は、サービス業や製造業ではかなり重要です。職員の生産性が下がったり、働き過ぎになった場合は事故につながる可能性やミスが起こりやすくなります。事故やミスを事前に回避するというのは、企業にとってシステム導入よりもはるかに得られるものが大きいでしょう。

そして、こういったシステムの導入に積極的である背景には、イギリスが訴訟社会であるということも大きいでしょう。多様な人がいますので、働き過ぎによる病気や精神的な問題、ミスが起こった場合などは従業員側が会社を訴えることが少なくありません。

日本も働く人が多様化してきますので、こういったAIを活用したシステムを導入して安全管理義務の遵守をどんどん進めておかないと、後になって大変なことになる可能性があるでしょう。

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谷本 真由美(たにもと・まゆみ)

NTTデータ経営研究所にてコンサルティング業務に従事後、イタリアに渡る。ローマの国連食糧農業機関(FAO)にて情報通信官として勤務後、英国にて情報通信コンサルティングに従事。現在ロンドン在住。

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