WirelessWire News Technology to implement the future

by Category

2023年夏、折り畳みの「ガラケー」に機種変更(1) スマートフォンに嫌気が差した件

2023.09.11

Updated by Toshimasa TANABE on September 11, 2023, 09:45 am JST

8月半ばに、3年くらい使用したスマフォを捨てて、パタンと折り畳むいわゆる「ガラケー」モデル(ガラホなどというらしい)に機種変更した。端末代は、キャリアのオンラインショップでの価格に多少溜まっていたポイントを充当して15,000円を切るくらいで済んだし(量販店で確認したところ同じものが5万円程度で、キャリアのオンラインショップが一番安いとのことだった)、月々の料金は4,000円超(スマフォの料金プランとしては安い方だったはず)だったのが1,500円程度になった。

端末は、2023年3月発売の最新機種である。ラインアップには、京セラ、富士通、シャープの3機種があり、カメラレスのモデルもあったりする。業務用途での根強いニーズがあるらしい。月額1,500円程度なら会社持ちで社員に使わせるにも、都合が良いのだろう。

とりあえず、そうはいってもカメラは付いていた方が良い、ワンセグは不要(テレビもテレビの付いたカーナビもないのに、ここで受信料などという話になるのは勘弁)、電車にほとんど乗らなくなったのでモバイルSuicaも無くて良い、などの条件で比べて一番新しい京セラ製の端末に行き着いた。カメラは800万画素と素朴なスペックでインカメラは付いていない。5G対応だのなんだのもまったく関係ない。

オンラインで発注してから2、3日で端末が届き、開通手続きをして、それまで使っていたスマフォはWi-Fi専用端末となった。

とりあえず今回は、なぜスマフォを捨てることにしたのか、というあたりを。替えてみてどうだったか、といった話は次回以降に。

スマフォを使い始めたのは、2014年の11月(ボジョレの解禁日あたり)のことだった。それまで使っていたガラケーから機種変更した。それ以来、約7年で3台のスマフォ(すべてAndroidであるが、これはスマフォに移行する前にiPad miniとNexus7を両方使ってみた結果の選択)を使ってきたのだが、1台目は石畳に落してしまってディスプレイが割れた。2台目は、筐体の接着部分が劣化してはがれてきた。最後の3台目は、ストレージが足りなくなってきたし、3年経過して機種変更のタイミングに差し掛かっていた。

実は、「スマフォ離れ」を意識し始めたのは2年くらい前だった。普段の使い方から考えて、

・音声通話
・メールの着信チェック
・モバイルSuica
・クルマにつないでカーナビ
・Kindleでしか持っていない本を読む
・出先からの馬券購入

くらいに用途を絞るべきではないか、と思えてきたのだった。

そう考えた最大の理由は、カメラの使い勝手と性能が悪いこと。もう一つの大きな理由は、テキスト入力の効率が悪いこと(私に限った話かもしれないが、フリック入力にいつまでたっても慣れないし、指が太いので入力ミスや操作ミスも多い)。幸いにして老眼はあまり来ていないので、画面サイズが小さいことは問題ではなかった。

SNSなどへの投稿の場合、たいていはスマフォからPCに画像を移して(USBでつないだりメールで送信したり)PCで編集してから投稿していたので、スマフォで投稿したりテキスト入力をすることは少なかったとはいえ、

・カメラ自体がイマイチ
・撮影時にいちいちカメラアプリを起動する必要がある
・起動後、ズームするのだが、その操作性が悪い(微調整が難しい。1.4倍などでピタッと決まらない)

などが気になっていた。

安い機種ということもあって、ストレージも不足気味だし、古いデータを消すなどということに時間と手間をかけるのも面倒だった。しかし、高性能ではあっても最新機種は20万円超などということになっており、これはまったく乗れない。

なんとなくスマフォというもの(タブレットを含む)に飽きてきた、テキスト入力を始めとして、もろもろ作法を強要される感じに嫌気が差していた、スマフォに没頭している感じがどうにも好きになれない、などの理由もあった。人生、スマフォの作法や都合に振り回されている場合ではないのである。

さらに、スマフォを持っていることが、あるいはアプリやLINEを使っていることなどが、いろいろな局面で当たり前の前提になっている世の中が気に入らなくなってきていた。店に入れば、まずビールを注文する前に店のアプリをダウンロードしろ、などとQRコードを突き付けられる、LINEでつながらないとクーポンが届かないぞ、などと店とLINEでつながることを強要される、貯まったポイントはアプリからでないと使えない、などなどである。

とはいえ、食べたものを撮っておかないと何を食べたか忘れてしまうので、写真は大事である。食の記憶こそが人生でもある。そんなこんなで、どうすることにしたかというと、

・常時携行できる小さなデジタルカメラを調達
・メールの着信があったらPCで内容を確認し対応する
・SNSはPCからのアクセスだけにする

そういうわけで、先に「コンデジ」を調達してから、スマフォでの写真撮影やスマフォからの投稿は、よほどの例外以外は封印ということにした。

こうして着々と「スマフォ離れ」が進行中だったのだが、Googleからこんなメールが来るのだから笑ってしまう。

まもなくログインの2段階認証プロセスが有効になります。
●●●●@gmail.com
パスワードの入力に続けて、スマートフォンで2つ目の手順を完了していただくようになります。
ログインする際はスマートフォンをお手元にご用意ください。

世の中には、スマフォどころか携帯電話さえ持っていない御仁もいるのだけれど(仕事仲間にもいる。電話連絡はいつも公衆電話から)、ま、そういう人はGoogleアカウント(Gmailアドレス)も持っていないだろうし、想定ユーザーではないということなのだろう。しかし、スマフォがいつでも動作した状態で手元にある前提でのセキュリティってのは、何かが違うような気がしないでもない。

こんな感じでスマフォ離れをかなり意識するようになっていたところに、出先で仕事のメールが来たのに気付いてスマフォのWebメールで返信しようとしたが、文字入力がかなり多くなりそうなのと、Webメール自体の仕様の制約でサクッと返信できないということが、立て続けに発生した。結局、いずれの場合も、電話を掛けて2、3分の通話で一件落着であった。

スマフォとPCとでは、できることがほぼ被っているようで、実はスマフォではとてもやりにくかったり、微妙にできないことがあったりする。スマフォの無い世界では何ができなくなるのかを明確にするためにも、一度、スマフォを捨ててみる必要があると確信したのであった。

機種変更後、特に不便を感じることもなく数日経った頃に、初めて電話が掛かってきた。私の会社の登記情報を見て、立派な事業所を持った法人と勘違いした格安電力からの営業電話だった。初めての着信だったので、メール着信とはバイブのパターン(面倒なので自分で設定しておらずデフォルト状態のまま)が違うことが分かったのが収穫だった。とりあえず、2週間ほど経過して、着信はこの1件だけであるから、携帯電話自体が、PCの前にいることが多い私の場合は、無くても良いくらいなのかもしれない。

WirelessWire Weekly

おすすめ記事と編集部のお知らせをお送りします。(毎週月曜日配信)

登録はこちら

田邊 俊雅(たなべ・としまさ)

北海道札幌市出身。システムエンジニア、IT分野の専門雑誌編集、Webメディア編集・運営、読者コミュニティの運営などを経験後、2006年にWebを主な事業ドメインとする「有限会社ハイブリッドメディア・ラボ」を設立。2014年、新規事業として富士山麓で「cafe TRAIL」を開店。2019年の閉店後も、師と仰ぐインド人シェフのアドバイスを受けながら、日本の食材を生かしたインドカレーを研究している。

RELATED TAG