写真:VesnaArt / shutterstock
ファインチューニングされた生成AIで売上を上げる方法
2024.06.18
Updated by WirelessWire News編集部 on June 18, 2024, 14:09 pm JST
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2024.06.18
Updated by WirelessWire News編集部 on June 18, 2024, 14:09 pm JST
生成AIを特定の業種・業界・職種に特化した使い方をしたいとき、おすすめなのがファインチューニングである。その効用を紹介する。
一般常識の範囲を超えられないChatGPT
ChatGPTをはじめとする生成AIの導入が進んでいます。企業においても活用事例が出てきており、文章生成、企画やアイデアのたたき台を出す、壁打ちの相手にするなどして広く使われているようです。実際に使用してみた多くの人がその利便性を実感していることでしょう。
一方で、限界も見えてきました。ChatGPTの知識は幅広く、回答精度も向上していますが、あくまで一般常識の範囲にとどまります。ChatGPTは利用者全員に対して、同じデータを基にして回答します。そのため特定分野に詳しくなかったり、一般に公開されていない情報を出したりすることができません。取引先への謝罪文を考えるなど「広く浅く」の用途では役に立ちますが、特定の業種・業界・職種に特化した「狭く深い」使い方をしたいときには今ひとつ役に立っていないのです。
ベテラン社員の知恵袋を再現
こうした課題を解決できるのが「ファインチューニング(追加学習)」です。ファインチューニングとは、ChatGPTが既に学習したデータに対して、新たなデータを追加で学習させることです。ChatGPTが保有するデータはインターネット上の情報が中心なので、企業ごとの業務や製品については学習していません。そこでChatGPTに、自社が保有する個別のデータを新たに学習させて、質問に答えられるようにするのです。
ここで自社製品やサービス、特定業務の作業マニュアル、専門知識などを追加で学習させれば、会社内の様々な情報を把握した頼りになるベテラン社員の知恵袋を再現できます。業務で活用できる場面としては、コールセンターなどの問い合わせ対応、業務の中で状況によって指示を出す、過去のデータを比較分析しながらアドバイスするなどがあるでしょう。
従来は社内手続きや自社製品の相談する場合、チャットボットを利用していました。チャットボットは特定の分野について質問すると、AIが自動で答えてくれる製品です。しかし、チャットボットが用途や目的ごとに乱立して管理が煩雑になるなどの課題もありました。そこで幅広いデータを学習しながら回答できる、ChatGPTによる業務効率化が期待されます。
一方で、ファインチューニングで新たなデータを学習させて適切な回答を導き出すのは難しく、回答の精度が低くなるという問題もあります。そのため精度が低くなりそうな場合は、回答を拒否するなどの回避策を導入しておく必要があります。
学習させるデータを集める手間もかかりますし、データは学習できる状態に加工しなければなりません。仮にベテラン社員しか知らない古い業務の情報が紙のマニュアルしか存在しなければ、ChatGPTに学習させるためには書類をスキャナで取り込んで文字起こしをするなどの作業が必要です。このように様々な条件と、継続的な試行錯誤は必要ですが、ファインチューニングは期待の大きい手法と言えるでしょう。
※本稿は、モダンタイムズに掲載された記事の前半部分です。
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